2018-09-09 Sun [ 同人のコト ]
あいざわひろしに頼まれて(結果)、ここしばらく他人のdocxから、インターネットの書店で売れる、いわゆる電子書籍のデータを作るプロセスの確立をしていたので、ブログにメモとして書いておくことにした。
徹底的に実務/実用レベルの話で理念なんて1ミリも語らないw
まず条件を並べると
ということになる。
電子書籍は書店ごとにサポートしているフォーマットがあるのだけど(具体的にはamazonのmobiなど)、日本では、どこの書店でもepub3には対応しているので、epub3のファイルを作ってアップロードして、コンバートさせるのが一番楽だ。
つまり上のプロセスを書き直すと
ということになる。
では、どのようにしてepub3にするのがいいのか?
「でんでんコンバータ」が一番有名な有名なフリーサービスではないかと思うのだけど、これはwordには対応していない。
で、ワードに対応しているいろいろなオンラインサービスがあるのだけど、いろいろテストした結果、「LeME」を推薦した。
これはLeMEだとターンアラウンドが早く簡単でインターネットを経由することなくオフラインで作業できるからだ。
LeMEでコンバート
→edgeで読んで確認(edgeはepub3にフル対応している)
→おかしいところを修正
なので、抜群に簡単だ。
あと目次の作り方も極めて簡単で、ワードのアウトラインモード(ナビゲーションウィンドウ)での「見出し」で目次を作ればいい。注意が一つだけあり、リフロー型の電子書籍では、ページ番号を入れちゃだめってこと。
まあ手書きでマークアップとかもあり得るが、今どきそれじゃないかなとw
これでワードのテキストがそのまま美しいepub3ファイルになると素晴らしいのだけど、残念なことに問題だらけで、しかも現時点ではほとんど解決できない問題が多い。
まずフォント。
和文の縦書きテキストは普通、serif、つまりヒゲつきフォントの指定になるのだけど、あとgothicが確実に動く、ここまでしか指定できないと思った方がいい。
これはepub3のデータを作って、いろいろなアプリで表示させて得た結論で、結局、表示自体はアプリの持ってるフォントの質に依存してしまい、フォントは「ゴシックと明朝しかない」以上のことを期待するのは危険。二昔前のweb-fontの少ない時代のブラウザをほうふつとさせる世界だ。
またepub3では埋め込みフォントで対応できるはずなのだけど、これを信じるのは止めておいた方が安全というのが、今のところの僕の評価だ。
では表示品質はというと、和文前提のkinoppy、bookwalkerあたりはかなり素晴らしい。
続いてappleはヒラギノを載せているので、書店で見る印刷物とはイメージが違うが質はいい(世の中の人の大半にはどうでもいいことだけど、ヒラギノ明朝は書籍で使われている明朝とはかなり風合いが違うのである)。
そしてgoogle様は、まあ許せるフォントを出す。
どうにも微妙なのがkindle。お前ら、日本語フォントに金かけてねえだろう? と、ちょっと言いたくなってしまった。
また和文の行間の表示品質が大変に酷いアプリが多い。
アプリによるが和文の行間設定がデフォルトでスカスカ。
文字の高さの1.5倍程度が和文では読みやすいとされているのだけど、この数値からはかけ離れた表示が行われて、読みにくいことこの上ない。本読みとしては許しがたい表示が行われる。特にひどいのがkindleやibookで、和文前提のアプリと比較して、かなりダメ。しかも調整の制限が厳しいので頭が痛くなる。
ちなみにgoogle play booksはかなりマシ+結構ちゃんと行間を詰められるので、google play booksは電子書籍を読む上で、いいリーダーの選択肢の一つだ。
レイアウトは壊滅的かつ破壊的。
技術書の図版と文章の関係とかグダグダになる。もう話にならないと思っていい。
リフロー形式のレイアウトの質は、サポートされているcssなどを考えると、理論的にはhtml5並にあるはずなのだけど、現時点ではhtml以下だと断言してしまう。これはアプリごとのサポートの質がバラつくからだ。
おまけに画面サイズも違えば、縦横比も違う。これではまともなレイアウトで技術書などの表示を期待するすべもない。
例えば、下はテストで作った『ときめきメモリアルの時代』のepub3ファイル。
左がpdfで、右の二つのスクリーンショットが埋め込み画像の入ったepubファイルをedgeで出したものだが、こんな風にグダグダな表示になるのが当たり前で、もう話にならないと言わざるを得ない。
自分が持っている電子書籍のデータで画像入りの物で、たまにひどいレイアウトのものがあって、どうしてこうなっているのかと思ったのだけど、実際にデータをテストで作ってみて「どうしようもなくてそうなっていた」ことを理解してしまった。
他にも図版はどうしても画像なので、デバイスサイズによって読みやすさが全く違ううえに、文章に位置を近づけようと埋め込みにすると、幅が足りないとき縮小してくれるといった保証などが全くなく、上のようなメロメロな表示になることまであるので、話にならない。
技術書系ではコードのサンプルやツールの表示があるわけで、ここらへんで、もっとまともな表示を安定的に出来ないと、とても紙の書籍の代替品にはならないと思ってしまった。
もちろん、固定レイアウトにすればマシなのだけど、今度は「ならPDFで配布した方がマシじゃね?」となって、epub形式にこだわること自体に意味がねえだろ? って話になってしまう。
と、まあepub3をテストした結果、印刷物の代替品としてみると、レイアウト能力の低さがあまりに問題で話にならんというのが現時点での僕の評価だ。
さて、そんなわけで、いろいろやった結果を簡単にまとめると下。
epub3そのものについては
こんな風に調査&お手伝いをした結果、出来上がったのが『隷のソナチネ』という電子書籍。
内容についてはあいざわひろしのブログで見てくだされ。
ショップに出すのも手伝ったので、そっちについても近いうちに書きたいと思うw
徹底的に実務/実用レベルの話で理念なんて1ミリも語らないw
まず条件を並べると
・挿絵が入っているワードのファイルを
・なんらかのソフトなりサービスなりを使って
・挿絵の入った電子書籍にして
・アマゾンなどの書店で販売したい
・なんらかのソフトなりサービスなりを使って
・挿絵の入った電子書籍にして
・アマゾンなどの書店で販売したい
ということになる。
電子書籍は書店ごとにサポートしているフォーマットがあるのだけど(具体的にはamazonのmobiなど)、日本では、どこの書店でもepub3には対応しているので、epub3のファイルを作ってアップロードして、コンバートさせるのが一番楽だ。
epub3というのはepubという標準フォーマットの第三版でhtml5の「5」と同じようなバージョン番号。epubは3になるまでは、日本の出版文化では使い物にならないフォーマットだったのだけど、ルビ・縦書き・縦中横など重要な機能に対応したので、これで使い物になった。
ただし結局これをレンダリングするのはアプリなので、アプリの対応に依存してしまう。
ただし結局これをレンダリングするのはアプリなので、アプリの対応に依存してしまう。
つまり上のプロセスを書き直すと
・挿絵が入っているワードのファイルを
・なんらかのソフトなりサービスなりを使って
・挿絵の入ったepub3のファイルに変換
・書店にアップロードする。
・なんらかのソフトなりサービスなりを使って
・挿絵の入ったepub3のファイルに変換
・書店にアップロードする。
ということになる。
では、どのようにしてepub3にするのがいいのか?
「でんでんコンバータ」が一番有名な有名なフリーサービスではないかと思うのだけど、これはwordには対応していない。
で、ワードに対応しているいろいろなオンラインサービスがあるのだけど、いろいろテストした結果、「LeME」を推薦した。
これはLeMEだとターンアラウンドが早く簡単でインターネットを経由することなくオフラインで作業できるからだ。
LeMEでコンバート
→edgeで読んで確認(edgeはepub3にフル対応している)
→おかしいところを修正
なので、抜群に簡単だ。
実はepub3はただのzipファイルなので展開して中のxhtmlを閲覧すればchromeなどでも読むことができるが、手軽さではフル対応しているedgeにはかなわない。
あと目次の作り方も極めて簡単で、ワードのアウトラインモード(ナビゲーションウィンドウ)での「見出し」で目次を作ればいい。注意が一つだけあり、リフロー型の電子書籍では、ページ番号を入れちゃだめってこと。
まあ手書きでマークアップとかもあり得るが、今どきそれじゃないかなとw
これでワードのテキストがそのまま美しいepub3ファイルになると素晴らしいのだけど、残念なことに問題だらけで、しかも現時点ではほとんど解決できない問題が多い。
まずフォント。
和文の縦書きテキストは普通、serif、つまりヒゲつきフォントの指定になるのだけど、あとgothicが確実に動く、ここまでしか指定できないと思った方がいい。
これはepub3のデータを作って、いろいろなアプリで表示させて得た結論で、結局、表示自体はアプリの持ってるフォントの質に依存してしまい、フォントは「ゴシックと明朝しかない」以上のことを期待するのは危険。二昔前のweb-fontの少ない時代のブラウザをほうふつとさせる世界だ。
またepub3では埋め込みフォントで対応できるはずなのだけど、これを信じるのは止めておいた方が安全というのが、今のところの僕の評価だ。
では表示品質はというと、和文前提のkinoppy、bookwalkerあたりはかなり素晴らしい。
続いてappleはヒラギノを載せているので、書店で見る印刷物とはイメージが違うが質はいい(世の中の人の大半にはどうでもいいことだけど、ヒラギノ明朝は書籍で使われている明朝とはかなり風合いが違うのである)。
そしてgoogle様は、まあ許せるフォントを出す。
どうにも微妙なのがkindle。お前ら、日本語フォントに金かけてねえだろう? と、ちょっと言いたくなってしまった。
また和文の行間の表示品質が大変に酷いアプリが多い。
アプリによるが和文の行間設定がデフォルトでスカスカ。
文字の高さの1.5倍程度が和文では読みやすいとされているのだけど、この数値からはかけ離れた表示が行われて、読みにくいことこの上ない。本読みとしては許しがたい表示が行われる。特にひどいのがkindleやibookで、和文前提のアプリと比較して、かなりダメ。しかも調整の制限が厳しいので頭が痛くなる。
ちなみにgoogle play booksはかなりマシ+結構ちゃんと行間を詰められるので、google play booksは電子書籍を読む上で、いいリーダーの選択肢の一つだ。
レイアウトは壊滅的かつ破壊的。
技術書の図版と文章の関係とかグダグダになる。もう話にならないと思っていい。
リフロー形式のレイアウトの質は、サポートされているcssなどを考えると、理論的にはhtml5並にあるはずなのだけど、現時点ではhtml以下だと断言してしまう。これはアプリごとのサポートの質がバラつくからだ。
おまけに画面サイズも違えば、縦横比も違う。これではまともなレイアウトで技術書などの表示を期待するすべもない。
なお、画像を挿絵的に1枚だけ表示するのは簡単。ただしこれも全画面指定をしても、アプリによって表示されるサイズがかなり違うのでゲッソリする。
例えば、下はテストで作った『ときめきメモリアルの時代』のepub3ファイル。
左がpdfで、右の二つのスクリーンショットが埋め込み画像の入ったepubファイルをedgeで出したものだが、こんな風にグダグダな表示になるのが当たり前で、もう話にならないと言わざるを得ない。
自分が持っている電子書籍のデータで画像入りの物で、たまにひどいレイアウトのものがあって、どうしてこうなっているのかと思ったのだけど、実際にデータをテストで作ってみて「どうしようもなくてそうなっていた」ことを理解してしまった。
他にも図版はどうしても画像なので、デバイスサイズによって読みやすさが全く違ううえに、文章に位置を近づけようと埋め込みにすると、幅が足りないとき縮小してくれるといった保証などが全くなく、上のようなメロメロな表示になることまであるので、話にならない。
技術書系ではコードのサンプルやツールの表示があるわけで、ここらへんで、もっとまともな表示を安定的に出来ないと、とても紙の書籍の代替品にはならないと思ってしまった。
もちろん、固定レイアウトにすればマシなのだけど、今度は「ならPDFで配布した方がマシじゃね?」となって、epub形式にこだわること自体に意味がねえだろ? って話になってしまう。
あと、手書きでメモを書き込むと言った処理にたいする問題もある。edgeですら手書きでメモを書き込むことはできない。リフロー形式の構造を考えれば難しいのはもちろんわかるが、これも紙やpdfに対する弱点だ。
と、まあepub3をテストした結果、印刷物の代替品としてみると、レイアウト能力の低さがあまりに問題で話にならんというのが現時点での僕の評価だ。
さて、そんなわけで、いろいろやった結果を簡単にまとめると下。
・日本の市場を考えるとepub3で出力するのが望ましい。
・ワードでリフロー形式で作るならLeMEがオススメ。
・edgeでプレビュー出来るので、作業は非常に簡単。
・ワードでリフロー形式で作るならLeMEがオススメ。
・edgeでプレビュー出来るので、作業は非常に簡単。
epub3そのものについては
・リフロー形式がデバイス対応のメリットを考えるとオススメ。
・フォントの制御は話にならない。見え方はアプリでかなり違う。
・行間がかなりひどい。
・レイアウトは壊滅的にダメ。
・1画面単位で挿絵を入れるならまあなんとか。
・フォントの制御は話にならない。見え方はアプリでかなり違う。
・行間がかなりひどい。
・レイアウトは壊滅的にダメ。
・1画面単位で挿絵を入れるならまあなんとか。
こんな風に調査&お手伝いをした結果、出来上がったのが『隷のソナチネ』という電子書籍。
内容についてはあいざわひろしのブログで見てくだされ。
ショップに出すのも手伝ったので、そっちについても近いうちに書きたいと思うw
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