2010-08-19 Thu [ ゲームについて::歴史のこと ]
Twitterで「ギャルゲーの元祖は『ときメモ』」とかつぶやかれてたり、似たような話をブログで読んだりしたので、当時の1ユーザー兼ゲームプログラマとして、忘れないうちにメモしておこうというギャルゲー登場前後の事情。
ギャルゲーという言葉はファミコン後期~PC-Engine CDROMあたり、つまり1985-88年あたりで成立した言葉だと思われる。
一番最初にこの単語が登場したとき、意味としては「ギャル(女の子)が派手にフィーチャーされたゲーム」程度の意味合いだった。
タイムギャル(TAITO/1985)が発売されたときの「ギャル」からギャルゲーという言葉が出来た…という説を聞いたことがあるのだが、このあたりは本当に分からない。ただ1985-88年あたりで出てきた言葉なのはほぼ間違く『夢幻戦士ヴァリス』とか『マドゥーラの翼』とか、そこらへんのゲームが登場したとき現れた言葉だと思う。
実際、このあたりでアーケードでもモモコ120%(1986)とか、サイコソルジャー(1987)が出た時期であり、あのナムコご乱心といわれたワンダーモモ(1987)も出ていたりするのだから、こういったゲームがカテゴライズされる単語が出来ても全く不思議は無い。
もともとは目を引くために主人公を女にしたのだろうが、当時のゲームをプレイしているヤツは男ばかりなのでギャルゲーはゲーム内容に関わらずそれなりに売れてしまう。だから出来の悪いアクションの主人公をビキニアーマーの女にするとか、そういう非常に質の悪いゲームが横行するようになった。つまり女の子が派手にフィーチャーされているゲーム=質が悪い、という印象になりギャルゲーという言葉は蔑称になっていった。
そして、この蔑称に反論できるソフトの数のタカが知れていたので、当時のゲーマー達の間では「ギャルゲー=質の悪いゲーム」とほぼ等しかったのは間違いない。
また歴史的な混乱が起きる前に書いておくと、育成ゲームは1991年のプリンセスメーカー1が実質的な始祖である。だからギャルゲーという言葉の方が先に出来ていたのは確かだ。
まあ、それはともかく「ギャルゲー蔑視」の状況で登場したのが1994年のPCエンジン版ときめきメモリアル。このゲームとその8ヶ月ほど後に発売されたエロゲー(恋愛ゲームといってもいい)『同級生2』の爆発的なヒットによって、ギャルゲーのイメージは激変し「恋愛(育成)ゲーム」というジャンルが表舞台に飛び出してくることになる。
とは言っても『同級生2』は、もちろん50万本を越える売り上げを誇りかつ全年齢向けの『ときメモ』と比較したとき、もちろん一般的な影響力の話をすると微妙だったとは思うが、コアユーザーへの訴求力は凄まじかった。
なんにしてもときメモは「(ポジティブな)ギャルゲー」という言葉を広めるという意味では決定的な役割を果たしたが、別に元祖というわけでは全くない。ただし「恋愛(育成)ゲーム」と呼ばれるジャンルのほぼ元祖に近い存在なのは間違いない事実だろう。
そして、この『ときめきメモリアル』を作る際に、作者達が大いに参考にしたゲームが『同級生1』と『きゃんきゃんバニープルミエール』(多分シリーズを全般に参考にしたのだとは思うが)。このあたりは作者に効いたので間違いない。つまり、恋愛育成ゲームの歴史を紐解くと、そのルーツには2つの傑作エロゲーが見えてくるわけだ。
これらのゲームを参考にしたのは、作者のAsuty.Sと酒を飲みながら結構話をして聞いているので間違いない。
ということで、簡単な腑分けのネタだったが…ここに大いなる謎が登場する。
それは「エロゲー」という単語が登場したのはいつか? ということだ。
『同級生1』と『きゃんきゃんバニープルミエール』はどちらもいわゆるエロゲーなわけだが、ではエロゲーという言葉がいつ頃出来たのかというと、これはさっぱり分からない。
自分が遥か遠い昔、初めて「エロゲー」を見たときは「アダルトゲーム」と称されていた。もちろんこれは「アダルトビデオ」から来ているのは間違いない。
そのあと、コンプティークなどで一時「美少女ゲーム」という表現がなされていた。これは「アダルト+非アダルトゲーム」だったが、主なジャンルはアダルトだった。
一時、NiftyのDante君が「Xゲーム」という表現を使っていた。エロだけではない、という意味合いがこめられていたと思う。また、自分の原稿を調べると1998年に書いた(そしてボツになった)原稿で「Hゲーもしくはエロゲー」と書いているので、ここでその単語があったのは間違いないのだが…いつごろエロゲーという言葉は一般化したのだろうか…?
■追記
該博な知識を持っておられる方のTwitterでの協力により、1985-92年に語源がある、ということまでは明らかになりました。
ギャルゲーという言葉はファミコン後期~PC-Engine CDROMあたり、つまり1985-88年あたりで成立した言葉だと思われる。
一番最初にこの単語が登場したとき、意味としては「ギャル(女の子)が派手にフィーチャーされたゲーム」程度の意味合いだった。
タイムギャル(TAITO/1985)が発売されたときの「ギャル」からギャルゲーという言葉が出来た…という説を聞いたことがあるのだが、このあたりは本当に分からない。ただ1985-88年あたりで出てきた言葉なのはほぼ間違く『夢幻戦士ヴァリス』とか『マドゥーラの翼』とか、そこらへんのゲームが登場したとき現れた言葉だと思う。
実際、このあたりでアーケードでもモモコ120%(1986)とか、サイコソルジャー(1987)が出た時期であり、あのナムコご乱心といわれたワンダーモモ(1987)も出ていたりするのだから、こういったゲームがカテゴライズされる単語が出来ても全く不思議は無い。
【注】 ギャルゲーという名前で意識はしていなかったとが、ともかく女戦士といえばビキニアーマーになった決定的なポイントがこの年代だったのは間違いない。女の子が主役だったゲームで自分がプレイした一番古いゲームはまず間違いなくアテナ(SNK/1986)だ。今から見ればゲロゲロの難易度のゲームで、おまけにキャラも間違っても可愛いとはいえないが、当時の青少年はこのキャラでもハアハアしたのであるw
もともとは目を引くために主人公を女にしたのだろうが、当時のゲームをプレイしているヤツは男ばかりなのでギャルゲーはゲーム内容に関わらずそれなりに売れてしまう。だから出来の悪いアクションの主人公をビキニアーマーの女にするとか、そういう非常に質の悪いゲームが横行するようになった。つまり女の子が派手にフィーチャーされているゲーム=質が悪い、という印象になりギャルゲーという言葉は蔑称になっていった。
そして、この蔑称に反論できるソフトの数のタカが知れていたので、当時のゲーマー達の間では「ギャルゲー=質の悪いゲーム」とほぼ等しかったのは間違いない。
また歴史的な混乱が起きる前に書いておくと、育成ゲームは1991年のプリンセスメーカー1が実質的な始祖である。だからギャルゲーという言葉の方が先に出来ていたのは確かだ。
まあ、それはともかく「ギャルゲー蔑視」の状況で登場したのが1994年のPCエンジン版ときめきメモリアル。このゲームとその8ヶ月ほど後に発売されたエロゲー(恋愛ゲームといってもいい)『同級生2』の爆発的なヒットによって、ギャルゲーのイメージは激変し「恋愛(育成)ゲーム」というジャンルが表舞台に飛び出してくることになる。
とは言っても『同級生2』は、もちろん50万本を越える売り上げを誇りかつ全年齢向けの『ときメモ』と比較したとき、もちろん一般的な影響力の話をすると微妙だったとは思うが、コアユーザーへの訴求力は凄まじかった。
なんにしてもときメモは「(ポジティブな)ギャルゲー」という言葉を広めるという意味では決定的な役割を果たしたが、別に元祖というわけでは全くない。ただし「恋愛(育成)ゲーム」と呼ばれるジャンルのほぼ元祖に近い存在なのは間違いない事実だろう。
そして、この『ときめきメモリアル』を作る際に、作者達が大いに参考にしたゲームが『同級生1』と『きゃんきゃんバニープルミエール』(多分シリーズを全般に参考にしたのだとは思うが)。このあたりは作者に効いたので間違いない。つまり、恋愛育成ゲームの歴史を紐解くと、そのルーツには2つの傑作エロゲーが見えてくるわけだ。
これらのゲームを参考にしたのは、作者のAsuty.Sと酒を飲みながら結構話をして聞いているので間違いない。
ということで、簡単な腑分けのネタだったが…ここに大いなる謎が登場する。
それは「エロゲー」という単語が登場したのはいつか? ということだ。
『同級生1』と『きゃんきゃんバニープルミエール』はどちらもいわゆるエロゲーなわけだが、ではエロゲーという言葉がいつ頃出来たのかというと、これはさっぱり分からない。
自分が遥か遠い昔、初めて「エロゲー」を見たときは「アダルトゲーム」と称されていた。もちろんこれは「アダルトビデオ」から来ているのは間違いない。
そのあと、コンプティークなどで一時「美少女ゲーム」という表現がなされていた。これは「アダルト+非アダルトゲーム」だったが、主なジャンルはアダルトだった。
一時、NiftyのDante君が「Xゲーム」という表現を使っていた。エロだけではない、という意味合いがこめられていたと思う。また、自分の原稿を調べると1998年に書いた(そしてボツになった)原稿で「Hゲーもしくはエロゲー」と書いているので、ここでその単語があったのは間違いないのだが…いつごろエロゲーという言葉は一般化したのだろうか…?
■追記
該博な知識を持っておられる方のTwitterでの協力により、1985-92年に語源がある、ということまでは明らかになりました。
コメント
効いた→聞いた
| 消去可 | EMAIL | URL | 10/10/06 18:06 | nmO5XWlI |
貴重な証言ありがとうございました。
そのあたりんびついては、追記で触れましたが85-92年の間に出来た言葉なのはほぼ間違いないようです。
そのあたりんびついては、追記で触れましたが85-92年の間に出来た言葉なのはほぼ間違いないようです。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/08/20 03:19 | Eeem.i3Y |
エロゲーという名称についてですが、参考までに。
私が学生時代だった92年頃、
パソコンゲームユーザであった友人を
「あいつ『きゃんきゃんバニー』っていうエロゲームをやっているんだぜ。」って冷かしていたのをはっきりと覚えています(笑)。
このころ「○○ゲー」って言葉はまだ定着していなかったと思いますが、
少なくとも「エロゲーム」っていう単語は使っていました。
私が学生時代だった92年頃、
パソコンゲームユーザであった友人を
「あいつ『きゃんきゃんバニー』っていうエロゲームをやっているんだぜ。」って冷かしていたのをはっきりと覚えています(笑)。
このころ「○○ゲー」って言葉はまだ定着していなかったと思いますが、
少なくとも「エロゲーム」っていう単語は使っていました。
| Pakochan | EMAIL | URL | 10/08/19 23:58 | RH/DpXao |
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