2013-09-04 Wed [ レビュー::本 ]
『ゲームメカニクス』はとんでもなく凄い本なのだけど…その話をする前にゲームメカニクスを定義しておきたい。
まず雑にはゲームメカニクス=ゲームのルールと理解すればいい。
ただ、コンピューターゲーム、特に欧米のゲーム業界ではルールの代わりにメカニクス、が使われることが多い。
どうしてルールではなくメカニクスを使われることが多い(多くなった)のか?
なぜなら一般的にゲームのルールは、ゲームをスタートする前からユーザーにとって明示的なものであることが多い。
例えば「相手の王を取りましょう」は将棋のゲームの目的であると同時にルールだし、コマの動きや二歩なども、将棋のルールでプレイする前に(できれば)知っておく必要がある。つまり、コンピュータゲーム以前のゲームではルールは「プレイヤーがゲームをプレイするうえで知っていなければならない明示的な制限」なのが基本だが、コンピュータゲームでは、ルールが明示的でなくてもプレイは成り立つ。
さらに例えばプラットフォームアクションにおける重力や二段ジャンプのような、通常のゲーム観からすると少々ルールとは言いがたいものもコンピュータゲームにはルールとして多々含まれている(プログラムによって挙動は規定されているのだから、普通の意味ではルールになる)。
だからルールと表現する代わりにメカニクスと表現するわけだ。
そしてゲームプレイを通じて、ゲームメカニクスを学習し、より有利なプレイを出来るようにするプロセスがコンピュータゲームをプレイする、という意味になる。
と、ものすごく簡単にゲームメカニクスについて説明した所で、ではこの『ゲームメカニクス』という本は、この幅広いゲームメカニクスの何についての説明を行なっている本か?
ものすごく簡単に説明するとリソース管理(内部経済)について書かれている本と思えばいい。
リソース管理(内部経済)とは何かというと、ゲーム内のおよそあらゆる物はリソースとみなすことが出来る。
例えばRPGのバトルのほとんどは自分(複数のキャラクタの場合もあれば1人もある)のHPが0になる前に相手のHPを0にすることを目としている。言い換えるならバトルはHPというリソースを管理するマネジメントの戦略を競うゲームとみなすことが出来、そして、相手のHPをより早く減らすためにスキルを使う、自分のHPを維持するために、他の限られたリソースであるアイテムや、MPを使ってマネジメントする…と、こんなふうに考えることが出来る。
このリソース管理の考え方は、一部のパズル(およびその眷属であるアドベンチャ)にまつわる部分を除く、ゲームのほとんどで使うことが出来る考え方で、そしてシミュレーションゲーム・RPGなどで特に大きな威力を発揮するのは、誰でもわかるだろう。
そして、このリソースの増えたり減ったりの流れを可視化して、ゲームデザインのプロトタイピングに役立てましょう、というのがこの本の目的というわけだ。
前半が、このリソース管理に関する基本的な議論、そして後半がそれを可視化するプロトタイピングツール「マキネーション」の具体的な使い方についてということになる。
少々、議論を単純化しすぎなところもあるけれど、本当にスゴい本だ。
ゲームデザイナーを志す人には、マストの一冊だと思う。
あと、以下はツール本体および使い方のデモなどのリンク。
■マキネーションツール本体
http://www.jorisdormans.nl/machinations/
■マキネーションツールの使い方のデモ
http://www.youtube.com/watch?v=PsqaG_GLmvw
■マキネーションツールの使い方についての解説。slideshare
http://www.slideshare.net/minahito/machination
まず雑にはゲームメカニクス=ゲームのルールと理解すればいい。
ただ、コンピューターゲーム、特に欧米のゲーム業界ではルールの代わりにメカニクス、が使われることが多い。
実際、僕も海外ゲームデザイナーやゲーム業界のヤツと話すときは、メカニクス以外の言葉を使ったことはない。まあこのあたりは"scenario / story"と"narrative"が腑分けされつつあるのと似ている。
どうしてルールではなくメカニクスを使われることが多い(多くなった)のか?
なぜなら一般的にゲームのルールは、ゲームをスタートする前からユーザーにとって明示的なものであることが多い。
例えば「相手の王を取りましょう」は将棋のゲームの目的であると同時にルールだし、コマの動きや二歩なども、将棋のルールでプレイする前に(できれば)知っておく必要がある。つまり、コンピュータゲーム以前のゲームではルールは「プレイヤーがゲームをプレイするうえで知っていなければならない明示的な制限」なのが基本だが、コンピュータゲームでは、ルールが明示的でなくてもプレイは成り立つ。
ルールがなぜ明示的でなければならないのは、例えば、グーはパーに勝ち、パーはチョキに勝ち、チョキはグーに勝つジャンケンがある地方で恒常的に行われていたと仮定して、そこで、なんのルールの取り決めもせずにプレイしたような状況を想像すればいい。
さらに例えばプラットフォームアクションにおける重力や二段ジャンプのような、通常のゲーム観からすると少々ルールとは言いがたいものもコンピュータゲームにはルールとして多々含まれている(プログラムによって挙動は規定されているのだから、普通の意味ではルールになる)。
だからルールと表現する代わりにメカニクスと表現するわけだ。
そしてゲームプレイを通じて、ゲームメカニクスを学習し、より有利なプレイを出来るようにするプロセスがコンピュータゲームをプレイする、という意味になる。
このメカニクスとゲームプレイの論理のあたりをもうちょっとちゃんと追求すると、コンピュータゲームの原論的な部分になるのだけど、この文では触れないことにしておく。
と、ものすごく簡単にゲームメカニクスについて説明した所で、ではこの『ゲームメカニクス』という本は、この幅広いゲームメカニクスの何についての説明を行なっている本か?
ものすごく簡単に説明するとリソース管理(内部経済)について書かれている本と思えばいい。
リソース管理(内部経済)とは何かというと、ゲーム内のおよそあらゆる物はリソースとみなすことが出来る。
例えばRPGのバトルのほとんどは自分(複数のキャラクタの場合もあれば1人もある)のHPが0になる前に相手のHPを0にすることを目としている。言い換えるならバトルはHPというリソースを管理するマネジメントの戦略を競うゲームとみなすことが出来、そして、相手のHPをより早く減らすためにスキルを使う、自分のHPを維持するために、他の限られたリソースであるアイテムや、MPを使ってマネジメントする…と、こんなふうに考えることが出来る。
このリソース管理の考え方は、一部のパズル(およびその眷属であるアドベンチャ)にまつわる部分を除く、ゲームのほとんどで使うことが出来る考え方で、そしてシミュレーションゲーム・RPGなどで特に大きな威力を発揮するのは、誰でもわかるだろう。
そして、このリソースの増えたり減ったりの流れを可視化して、ゲームデザインのプロトタイピングに役立てましょう、というのがこの本の目的というわけだ。
前半が、このリソース管理に関する基本的な議論、そして後半がそれを可視化するプロトタイピングツール「マキネーション」の具体的な使い方についてということになる。
少々、議論を単純化しすぎなところもあるけれど、本当にスゴい本だ。
ゲームデザイナーを志す人には、マストの一冊だと思う。
あと、以下はツール本体および使い方のデモなどのリンク。
■マキネーションツール本体
http://www.jorisdormans.nl/machinations/
■マキネーションツールの使い方のデモ
http://www.youtube.com/watch?v=PsqaG_GLmvw
■マキネーションツールの使い方についての解説。slideshare
http://www.slideshare.net/minahito/machination
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