2013-08-25 Sun [ ゲームについて::理屈のこと ]
カナーリ前、F2Pの最初の3分間について書いたのだけど、これはその続き。
ものすげーめんどくさい内容で続きを書くのもめんどくさかったのだけど、書くのである。
というのも、某所の飲み会だったかで「続き書け」と脅迫されたのだw
前回の内容は「F2Pの最初の3分はコンソールゲームと違って、ユーザーのロイヤリティがゼロであり、どちらかというとアーケードに似ている。だから最初の3分でユーザーにゲームを教え、心をつかむことが恐ろしく大事だ」という内容を書いた。
という文を書いて終わったわけだけど…続きを書く前に、どうして「F2Pの最初の3分間」ってタイトルなのかについて書いておきたい。
前回の最後でちょろっと触れたのだけど、ゲームロフトで教えられたことがこのゲームのタイトルになっている。
どんなことだったのかというと、それはDirective Tutorial、すなわち矢印を出して「アレやれ、これヤレ」と指示するチュートリアルは clearlyで definitely でなければならない、そして3分以内に終わらなければならない、ってゲームロフトの鉄の掟。
だから、F2Pの最初の3分間、なんてタイトルにしたわけ。
じゃ、どうして3分で終わらせろって鉄の掟があったのか?
これは単純に経験(KPI)の話だ。
前回も書いたけど、ゲームロフトでは、沢山のゲームを出し、そのチュートリアルのログを取った結果、チュートリアルが3分を超えると1分毎にウン%単位で離脱率が跳ね上がっていくって結果が得られたからだ。
だから3分以内でチュートリアルを終わらせなければならないってわけだ。
では、ゲームロフトでは最初の3分間の中で教えなければならないこと(言い換えるならユーザーにやらせること)はなんだったのか?
簡単に書くと3つの目標がある。
ということで、それぞれについて説明していこう。
■コアゲームループを一周させる
コアゲームループって何なのかというと、ゲームを遊ぶ上で最低限覚えなければいけない「一周」のことだ。
例えばCity Builderなら
イマドキ、ここまでシンプルなCity Builderはあんまないけれど、基本的なCity Builderのゲームメカニクスは上記した構造になっている。
そして、海外のゲームデザインの世界では、こういうゲームを構成する上での最小限のループのことをコアゲームループ、と表現する。この最初のコアゲームループを、最初の3分間に遊ばせなければならない。
つまり最初の3分で「こんなゲームですよ」という最低限の基礎ルールを教えることが第一の目的。
■世界観をユーザーに教え没入させる。
ユーザーに世界観を説明し、その中でのユーザーの立ち位置(ユーザーが何者で、何をしなければいけないか)をはっきりさせ、ユーザーとゲーム世界を結びつける作業を行う。
例えば、僕の関わった Wonder Zoo ならば、
この3つの要素を全部はっきりと曖昧でなく、教えることが目的なわけだ。
そして、またこの教えるプロセスはオープニングから「プレイヤーを引き込む」ように作らなければならない。
■最後に「次の数分の間に必要な目的を得る方法」を教える。
これはとても奇妙な教えに見えるかも知れないけれど、プレイヤーをゲームにとどめておくために、とても重要なことだ。
チュートリアルが終わるとき、ユーザーに何の指針も与えないままだと、一定数のユーザーは「次に何をすればいいのかわからない状態」になり、そしてもちろんそういうユーザーはゲームを遊ぶのを辞める可能性が高い。
だからチュートリアルが終わるとき、次にやるべきことを知る方法を教えて、チュートリアルを終わることが多いわけだ。
例えば「私をタップすると、新しいクエストを受けられるわ、忘れないでね!」というような具合。
ここで「じゃあ、タップさせて続けて、もっとチュートリアルを続ければいいじゃないか?」という考え方もあるだろう。
確かにそれもひとつのあり方だが、今までF2Pを作ってきた経験は「それは良くない」と教えている。
なぜなら、この手のディレクティブチュートリアルが延びれば延びるほど、ユーザーの離脱率は上昇し、そのあとを遊んでくれなくなる確率が高いのは明らかだ。だから、できるだけ手短かに必要なことを教えて、そしてプレイヤーの自由にさせることが大事なわけだ。
では、このディレクティブチュートリアル突破率がどれぐらいで合格なのか?
会社の方針などもあるから一概には言えないけれど、80%以上はないと箸にも棒にもかからないのは間違いない。
と、ここまで書いてきたところで、話は最初に戻る。
では「KPIでチュートリアル突破率が80%あればそれでいいのか?」
僕は、これには実はノーだ。なぜなら、チュートリアル突破率にも質がある、と考えているからだ。
というところで、クソめんどくさい話は、またまた続くのである。
(続けば)
ものすげーめんどくさい内容で続きを書くのもめんどくさかったのだけど、書くのである。
というのも、某所の飲み会だったかで「続き書け」と脅迫されたのだw
前回の内容は「F2Pの最初の3分はコンソールゲームと違って、ユーザーのロイヤリティがゼロであり、どちらかというとアーケードに似ている。だから最初の3分でユーザーにゲームを教え、心をつかむことが恐ろしく大事だ」という内容を書いた。
では、チュートリアルはどのような要素が含まれて、どのようにして進めて行くことが望ましいのか?
そしてKPIのチュートリアル突破率を追うことが本当に正しいのか?
そしてKPIのチュートリアル突破率を追うことが本当に正しいのか?
という文を書いて終わったわけだけど…続きを書く前に、どうして「F2Pの最初の3分間」ってタイトルなのかについて書いておきたい。
前回の最後でちょろっと触れたのだけど、ゲームロフトで教えられたことがこのゲームのタイトルになっている。
どんなことだったのかというと、それはDirective Tutorial、すなわち矢印を出して「アレやれ、これヤレ」と指示するチュートリアルは clearlyで definitely でなければならない、そして3分以内に終わらなければならない、ってゲームロフトの鉄の掟。
だから、F2Pの最初の3分間、なんてタイトルにしたわけ。
じゃ、どうして3分で終わらせろって鉄の掟があったのか?
これは単純に経験(KPI)の話だ。
前回も書いたけど、ゲームロフトでは、沢山のゲームを出し、そのチュートリアルのログを取った結果、チュートリアルが3分を超えると1分毎にウン%単位で離脱率が跳ね上がっていくって結果が得られたからだ。
だから3分以内でチュートリアルを終わらせなければならないってわけだ。
追記しておくと、Freemium game guideline つーのがあって、これにはそーいうガイドラインが山盛りで書かれていた。これらを全部を絶対に守らないといけないわけではないが、売り上げを出したり維持するためには、守ったほうがいいものとされていた。また、中にはF2Pの場合には絶対に守らなければいけないものもあった。
例えば最初の実行ファイルは50メガバイト(正確にはwifiでない回線でダウンロード出来る最大サイズだが)以下でなければならない、といったもの。
例えば最初の実行ファイルは50メガバイト(正確にはwifiでない回線でダウンロード出来る最大サイズだが)以下でなければならない、といったもの。
では、ゲームロフトでは最初の3分間の中で教えなければならないこと(言い換えるならユーザーにやらせること)はなんだったのか?
簡単に書くと3つの目標がある。
1.コアゲームループを一周させる。
2.世界観をユーザーに教え没入させる。
3.「次の数分の間に必要な目的を得る方法」を教える。
2.世界観をユーザーに教え没入させる。
3.「次の数分の間に必要な目的を得る方法」を教える。
ということで、それぞれについて説明していこう。
■コアゲームループを一周させる
コアゲームループって何なのかというと、ゲームを遊ぶ上で最低限覚えなければいけない「一周」のことだ。
例えばCity Builderなら
1)ビルを買って
2)土地に建てて
3)ビルからの収入をもらう。
4)お金が増えたら(1)に戻る。
2)土地に建てて
3)ビルからの収入をもらう。
4)お金が増えたら(1)に戻る。
イマドキ、ここまでシンプルなCity Builderはあんまないけれど、基本的なCity Builderのゲームメカニクスは上記した構造になっている。
そして、海外のゲームデザインの世界では、こういうゲームを構成する上での最小限のループのことをコアゲームループ、と表現する。この最初のコアゲームループを、最初の3分間に遊ばせなければならない。
つまり最初の3分で「こんなゲームですよ」という最低限の基礎ルールを教えることが第一の目的。
ゲームメカニクスは「ゲームのルール」に親しい言葉。コンピュータゲームの世界では、普通の意味ではルールとは思えないようなものまでルールの範囲として考慮しなければならないので、明示的なルールと峻別するためにメカニクス、という言葉が使われることが多い。
また、City Builderは海外で主流のゲームスタイル。有名なところとしてはZyngaのCityvilleなど。最近の日本だとMegalopolisの方がメジャーかもしれない。
また、City Builderは海外で主流のゲームスタイル。有名なところとしてはZyngaのCityvilleなど。最近の日本だとMegalopolisの方がメジャーかもしれない。
■世界観をユーザーに教え没入させる。
ユーザーに世界観を説明し、その中でのユーザーの立ち位置(ユーザーが何者で、何をしなければいけないか)をはっきりさせ、ユーザーとゲーム世界を結びつける作業を行う。
例えば、僕の関わった Wonder Zoo ならば、
1)プレイヤーは動物のほとんどを盗まれた(動物を救護することを目的とする)動物園のスタッフの一員
2)盗んだ悪漢は、元動物園員であり、金に目が眩んだ。
3)ユーザーの目的は動物を救出し、動物園を再建すること。
2)盗んだ悪漢は、元動物園員であり、金に目が眩んだ。
3)ユーザーの目的は動物を救出し、動物園を再建すること。
この3つの要素を全部はっきりと曖昧でなく、教えることが目的なわけだ。
そして、またこの教えるプロセスはオープニングから「プレイヤーを引き込む」ように作らなければならない。
■最後に「次の数分の間に必要な目的を得る方法」を教える。
これはとても奇妙な教えに見えるかも知れないけれど、プレイヤーをゲームにとどめておくために、とても重要なことだ。
チュートリアルが終わるとき、ユーザーに何の指針も与えないままだと、一定数のユーザーは「次に何をすればいいのかわからない状態」になり、そしてもちろんそういうユーザーはゲームを遊ぶのを辞める可能性が高い。
だからチュートリアルが終わるとき、次にやるべきことを知る方法を教えて、チュートリアルを終わることが多いわけだ。
例えば「私をタップすると、新しいクエストを受けられるわ、忘れないでね!」というような具合。
ここで「じゃあ、タップさせて続けて、もっとチュートリアルを続ければいいじゃないか?」という考え方もあるだろう。
確かにそれもひとつのあり方だが、今までF2Pを作ってきた経験は「それは良くない」と教えている。
なぜなら、この手のディレクティブチュートリアルが延びれば延びるほど、ユーザーの離脱率は上昇し、そのあとを遊んでくれなくなる確率が高いのは明らかだ。だから、できるだけ手短かに必要なことを教えて、そしてプレイヤーの自由にさせることが大事なわけだ。
では、このディレクティブチュートリアル突破率がどれぐらいで合格なのか?
会社の方針などもあるから一概には言えないけれど、80%以上はないと箸にも棒にもかからないのは間違いない。
と、ここまで書いてきたところで、話は最初に戻る。
では「KPIでチュートリアル突破率が80%あればそれでいいのか?」
僕は、これには実はノーだ。なぜなら、チュートリアル突破率にも質がある、と考えているからだ。
というところで、クソめんどくさい話は、またまた続くのである。
(続けば)
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