2013-02-11 Mon [ レビュー::本 ]
オライリーから出版されている『レベルアップのゲームデザイン』について。
レベルアップのゲームデザインの内容を、ものすごく煮詰めて書くなら「GDDの書き方」ってことになる。
GDDは「ゲームデザインドキュメント」のことで、日本語に訳すと、普通は仕様書とかになるのだけど、日本の仕様書と呼ばれるものとは内容に微妙に齟齬があるので、個人的にはGDDと呼んでおくほうが座りがいい。
さて、ゲームデザインをするときは、海外の会社ではだいたい以下の様なプロセスで進んでいく。
(僕は違う名前で呼んでいたけれど、名前はこの本の合わせる。)
1)ワンページャードキュメントを書く
「そのゲームの面白さ」を1ページのドキュメント(海外ではパワーポイントのプレゼンテーションファイルが多い)にまとめたもの。
韓国のゲーム会社では1だったけど、ゲームロフトでは(表紙を除いて)2ページャー、つまり2ページが多かった。この本では1ページと書いている。
こいつは出来るまでが大変。ともかくやたらめったら手間がかかる。
2)テンページャー
ゲームの内容を10ページぐらいの(表紙コミ)プレゼンテーションにまとめるプロセス。スタジオの内側向けのものと営業だのHQだの向けのものの2種類がある場合がほとんど。ゲームロフトでは後者をpitch(ピッチ)と呼んでいた(HQに<投げる>からだと思う。まあまさかアスファルトのピッチであるまい)。僕はここは10ページではなく20ページぐらいでまとめるのが好み。
3)GDD
実際のゲームデザインドキュメント。量はまあ・・・超小さなゲームでも100pぐらい。デカいゲームだと数百ページを超える。
スマートフォンのゲームでも100ページ以上、韓国の完成しなかったアクションMOでは、最後には650ページになっていた。
と、海外スタジオでのゲームデザインの話を簡単に書いた所で、『レベルアップのゲームデザイン』の話に戻ると、この本は、上記3ステップについて書かれた本だ。
すなわち、この本はゲームのアイディアを得て、そこからGDDを書くところまで進んで、実際のゲームを作れるレベルまで仕上げていくプロセスを解説した本ってことになる。
そして、GDDが目的なので、(3)の比率が一番大きくて、GDDで必要な要素について、だいたいひと通り書かれているのだけど、ここにいいところと悪いところがある。
いいところはプロセスがステップに応じて明快に書いてあること。とても明快だ。
悪いことは、2つある。
一つが明快なことだ。教科書的な本なので、素人さん相手が前提なのだろうから、言い切ることは大事だけど「いや、これはこの手段だけじゃないだろ?」と思いたくなる所まで、あえて言い切ってしまっているのは微妙だと個人的には感じた。
次の問題点が、これまたまるで仕方ないのだけど、このGDDのあり方それ自体が、コンソールゲームの売り切りで完結している、後からガリガリ拡張される、今風のスマートフォンやオンラインやソーシャルゲームの内容を全然含んでいないこと。
これのために、これに書かれている通りのプロセスで考えても、ソーシャルやスマートフォンでは抜けている要素、具体的にはマネタイズやバイラル部分やソーシャル部分がまるで含まれていないために、ソーシャルやスマホでは少々使いにくいよなあと思ってしまった。
しかし、そういう問題はあれど、アイディアを得るところから、ワンページャー、テンページャー、GDDと進んでいくゲームデザインの教科書的な本はほぼないと思うので、この本と『「ヒットする」のゲームデザイン』は、日本語で読めるゲームデザインの本として、間違いなくお勧めだと思うのだ。
ちなみに『「ヒットする」のゲームデザイン』について興味がある人は、こちらのレビューをどうぞ。
レベルアップのゲームデザインの内容を、ものすごく煮詰めて書くなら「GDDの書き方」ってことになる。
GDDは「ゲームデザインドキュメント」のことで、日本語に訳すと、普通は仕様書とかになるのだけど、日本の仕様書と呼ばれるものとは内容に微妙に齟齬があるので、個人的にはGDDと呼んでおくほうが座りがいい。
さて、ゲームデザインをするときは、海外の会社ではだいたい以下の様なプロセスで進んでいく。
(僕は違う名前で呼んでいたけれど、名前はこの本の合わせる。)
1)ワンページャードキュメントを書く
「そのゲームの面白さ」を1ページのドキュメント(海外ではパワーポイントのプレゼンテーションファイルが多い)にまとめたもの。
韓国のゲーム会社では1だったけど、ゲームロフトでは(表紙を除いて)2ページャー、つまり2ページが多かった。この本では1ページと書いている。
こいつは出来るまでが大変。ともかくやたらめったら手間がかかる。
2)テンページャー
ゲームの内容を10ページぐらいの(表紙コミ)プレゼンテーションにまとめるプロセス。スタジオの内側向けのものと営業だのHQだの向けのものの2種類がある場合がほとんど。ゲームロフトでは後者をpitch(ピッチ)と呼んでいた(HQに<投げる>からだと思う。まあまさかアスファルトのピッチであるまい)。僕はここは10ページではなく20ページぐらいでまとめるのが好み。
3)GDD
実際のゲームデザインドキュメント。量はまあ・・・超小さなゲームでも100pぐらい。デカいゲームだと数百ページを超える。
スマートフォンのゲームでも100ページ以上、韓国の完成しなかったアクションMOでは、最後には650ページになっていた。
ところで、(2)と(3)の間にとんでもないサイズの違いがあるじゃないか…と言いたくなるだろう。実際そのとおり。
僕は2と3の間に、ふたつほどドキュメントをはさんでいた。この本でもそこは同じでビートドキュメント、なんてもんで似たようなことが書かれている。
僕は2と3の間に、ふたつほどドキュメントをはさんでいた。この本でもそこは同じでビートドキュメント、なんてもんで似たようなことが書かれている。
と、海外スタジオでのゲームデザインの話を簡単に書いた所で、『レベルアップのゲームデザイン』の話に戻ると、この本は、上記3ステップについて書かれた本だ。
すなわち、この本はゲームのアイディアを得て、そこからGDDを書くところまで進んで、実際のゲームを作れるレベルまで仕上げていくプロセスを解説した本ってことになる。
そして、GDDが目的なので、(3)の比率が一番大きくて、GDDで必要な要素について、だいたいひと通り書かれているのだけど、ここにいいところと悪いところがある。
いいところはプロセスがステップに応じて明快に書いてあること。とても明快だ。
悪いことは、2つある。
一つが明快なことだ。教科書的な本なので、素人さん相手が前提なのだろうから、言い切ることは大事だけど「いや、これはこの手段だけじゃないだろ?」と思いたくなる所まで、あえて言い切ってしまっているのは微妙だと個人的には感じた。
次の問題点が、これまたまるで仕方ないのだけど、このGDDのあり方それ自体が、コンソールゲームの売り切りで完結している、後からガリガリ拡張される、今風のスマートフォンやオンラインやソーシャルゲームの内容を全然含んでいないこと。
これのために、これに書かれている通りのプロセスで考えても、ソーシャルやスマートフォンでは抜けている要素、具体的にはマネタイズやバイラル部分やソーシャル部分がまるで含まれていないために、ソーシャルやスマホでは少々使いにくいよなあと思ってしまった。
しかし、そういう問題はあれど、アイディアを得るところから、ワンページャー、テンページャー、GDDと進んでいくゲームデザインの教科書的な本はほぼないと思うので、この本と『「ヒットする」のゲームデザイン』は、日本語で読めるゲームデザインの本として、間違いなくお勧めだと思うのだ。
ちなみに『「ヒットする」のゲームデザイン』について興味がある人は、こちらのレビューをどうぞ。
コメント
リクエストに答えていただきありがとうございます。
ゲーム開発者の方の好意的なレビューが
あることをうれしく思います。
ゲーム開発者の方の好意的なレビューが
あることをうれしく思います。
| d | EMAIL | URL | 13/02/16 15:15 | 6dpy5phs |
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