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天外Ⅱの戦闘システムについて(1)
天外Ⅱの戦闘は、忍者らホイから桝田さんが持ってきた天外1の魔法のバランスを僕が強く気に入っていたのと、桝田さんと僕のゲームバランスに対する思想が似ているという、この2つによって基本的な作りは出来上がっている。
だけど、もちろんそんな簡単なもので作れるものでもなく、それ以外にも王道であれだのなんだのと、いろいろな理由から、結構な紆余曲折があった。
今回はそれについて、例によって歴史コミで、最初から書いていきたいと思う。

CRPGの事の始まりを見ると、もともと戦闘には大きく分けて2つの系譜があった。
一つがWizardryに代表される「対面型」。
一つがUltimaに代表される「シミュレーション型」(正確にはUltima Ⅲからだけど)

ウィザードリィは昔のドラクエ、特にファミコン版の2&3の戦闘そのものと思っていい。
対してUltima型は上からの見下ろした画面で、キャラクタ同士の距離がわかり、かつボードシミュレーションのようにキャラクタを動かしていくのが特徴。
もちろん、これだけじゃなくて、他にもイロイロあって、例えば"Sword Thrust"やZORKの完全テキストアドベンチャースタイルとか、rogue(トルネコの冒険のモトネタ)のぶつかり型なんてのもあったし、さらにSSI(一時シミュレーションゲームで名を馳せた)のRPGなんかはドマニアックなシミュレーションっぽいものがあったりしたけれど、まあそれらの大半も、前述2つのどちらかのアレンジ版とみなして構わなかった。
それで、この2つの戦闘方式は1991年ぐらいまでは、日本で登場したアクションRPGというとんでもない鬼っ子を除いて、主役であり続けた。

あまり語られることがないのだけど、アクションRPGはほぼ100%日本発祥のジャンル。


天外Ⅱは天外Ⅰが対面型の戦闘…つまりウィザードリィ=ドラクエスタイルだったことから、当然対面型戦闘を使うことに決まっていた。

歴史的な話を書くと、天外Ⅰの戦闘システムは、もともとは上半分にモンスターの絵が表示され、下半分の画面でアクションでバトルをするって珍しいものだったのだけど、これが当時「これでは売れない」と問題視され、桝田さんに監督として白羽の矢が立ったとき、当時主流だったドラクエ2~3型の、すなわちウィザードリィ型の対面戦闘方式に強引に変更されることになった。

対面型戦闘を採用した最初のCRPGは疑いもなく『あの』ウィザードリィで、もともとのテーブルトークのD&D(現在のものとは大幅にルールが違う)の戦闘ルールをかなり忠実に移植している。これはロバート・ウッドヘッドと会ったとき、直に聞いたことなので間違いない。なので、若干ドラクエ2-3より戦闘は若干複雑だったけれど、プレイしたときの印象はとても似ている。
雑に説明すると以下のようなシステム。

1)パーティ全員の行動を入力する。
2)戦闘開始!
3)敵味方のキャラが一個ずつ動いて、戦闘が解決される。
4)相手かこっちが全滅する(もしくは逃げる)まで(1)に戻る。

そしてドラクエはパーティが導入された2以降、基本このシステムで、勘違いしちゃいけないけれど、FF(1-3)だろうがメタルマックスだろうが、ドラクエと同じ戦闘時の行動を全部決定(決定フェイズ)>戦闘結果解決(解決フェイズ)で1ターンになる、戦闘システムだ。
画面の上で横を向いていようがパーティ全員の行動を入力して、戦闘開始。全員の行動が終了したら1ターン終わりの構造を守っている限りは「行動を先に全部決定してから、戦闘がスタートするフェイズで分離された戦闘方式」には変わりない。
これをフェイズ型とでも呼んでおこう。

このフェイズ型の眷属でない戦闘を探すのはかなり難しくて、例えばダークロードとか、ウルティマの移植版とか、ミネルバトンサーガとか…そして凄ノ王伝説…とか('A`)、1980年代後半~1990年代前半は、まあ数少ないゲームが、これ以外のシステムだった。

そして、僕は、この戦闘システムが好きでなかった(というか、好きだったら凄ノ王伝説で違うシステムを作らない)。
なぜなら理不尽だと思っていたから。
どうしてこれを理不尽だと思っていたのかというと
「現在の状況を判断するとき、プレイヤーは予測が難しい状態で全員の命令を決定しないといけない理不尽さがあった」からだ。

と、書いても分かりにくいだろうから、具体例で説明しよう。
例えば、HP25の戦士(P1)がいて、次の一撃であの世に行く可能性が極めて高い。なので、(P1)には防御させ、僧侶(P2)にヒールさせよう、というコマンドを実行したとする。
当時のドラクエシステムでは、例えば以下のような出来事が平気で起こった。

1)戦闘を開始。
2)P1が防御していても、クリティカルが出て死亡。
3)ヒールが死んだP1に行われる。MPが無駄に。

どう考えても僕には(3)は理不尽に思えた。
また、別のパターンでこんなのもあった。
モンスター(A,B)がいるとして、Aの方が強敵なので、3人パーティで、2人(P1,P2)がAを攻撃、P3がBを攻撃としたとき、以下のようなことが起こる。

1)戦闘開始。
2)P1がAを殴る。クリティカルが出てA死亡。
3)P2がAを殴ろうとして、1ターン無駄に。
4)P3がBを殴る。

どう見ても、(3)は理不尽だ。
し、さらにこのトラブルをモンスターは起こさなかった。言い換えるなら、モンスターはその場で行動を決定しているとしか思えなかった。つまり戦闘システムが非対称(と思われる)のも好きでなかった。
いずれにしても、その場でコマンドを決定するシステムでないのが、ものすごく気に入らなかったわけだ。

どうして、これにそんなに拘るのかというと、この戦闘システムには異様に不自然なところがあるからだ。
この戦闘システムを、実際の出来事に置き換えて考えてみるとわかる。

1)全員が並ぶ。
2)司令官が全員に命令を下す。
3)順番が決定され、1人ずつ行動していく。
4)仮に状況が変化しようと、司令官から与えられた命令は絶対で変更できない。

これは結局(2)の「全員に命令を下す」というプロセス自体が明らかにおかしいわけで、これを入れ替えて

2)順番が決定される。
3)1人ずつ命令を受け付ける。
4)命令を実行する。

と、こうした方がどう考えても素直ではないか、と思っていたわけだ。

また、フェイズ型には違う問題点もあった。
それは、パラメータの中で素早さのメリットが低い、ということだ。
フェイズ型では、素早さは命中率の判定と行動順序が主な使い道になるけれど、アクションは1フェイズにつき一度の制限があるために、パラメータとして、最初に行動出来る・当たりやすいぐらいしかメリットがない。
しかも、最初に行動できようが、最後だろうがアクションが一度なのには変わりないので、大きなメリットとは言い難い。
命中率は、素早さの差が一定以上になると急速に命中率が上がる・悪くなるといった、素早さが大きく影響する関数を作ることは出来るけれど、これを作ると今度は素早さが低いとスカスカでまるで当たらないゲームになる。そして空振りはゲーム的にはストレスを無用に増やすので、あまりいただける仕様ではないという話になる。
これを解決するために、2回行動とか入れると、今度はフェイズ型だと極端にその2回行動出来るキャラクタが有利になりすぎる。

この手のシステムは例えばスパロボで2回行動といった形で、何度も形を変えて実装されているのだけど、基本持っているキャラクタがあまりに有利すぎるために、だいたいにおいては最終的に一部のヒーローキャラが持つ「魔法(スパロボでは精神コマンドって呼び名だけど)」もしくは「特殊条件下で発動するスキル」という扱いになっている。

つまりだ。
1990-91年当時、ドラクエで馴染みが深かったフェイズ型の戦闘システムには、上記のような理由で、僕は大いに不満があった。
そして、こうすれば改善できる、というアイディアもあった。
なので、1990年、天外Ⅱの開発が始まってしばらくして、桝田さんに戦闘システムを提案した。
というところで、長くなったので続く。
|| 19:21 | comments (5) | trackback (0) | ||

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コメント
>歴史的な話を書くと、天外Ⅰの戦闘システムは、もともとは上半分にモンスターの絵が表示され、
>下半分の画面でアクションでバトルをするって珍しいものだった

このシステムだと、クリスタルソフトのアスピックなんかが有名ですね。
| するがまなぶ | EMAIL | URL | 12/09/20 03:35 | GCduZE/I |
スピードが速いほうが有利かつ、その攻撃の順番なども可視化されており、戦略的にも使えるという部分で
グランディアとか、FF10あたりが
完成形というか、すごい纏まっていた感じがあります

上手く攻撃する敵を選択すれば
全くこちらが攻撃を喰らう事無く戦闘終了できますよね
| KOU | EMAIL | URL | 12/09/16 21:44 | Iq4qqm0o |
DQ10だと、だいぶ賢くなってますよ。
リアルタイムっぽい処理なので、多少事情が異なりますけど。

特に回復系は、AIの方が判断が速くて優秀かもしれません。
攻撃に関しては、裏の処理で敵の死亡が確定して以降、
「倒す敵がいません」みたいな表示がでて選択できなくなります。(まだ生きていても)

ただ、これがバグを誘発してるようにも見えるのですが…
| atsu | EMAIL | URL | 12/09/16 18:54 | jB3nOvqE |
TRPG では他の人が倒したときにターゲットを変更できるものとできないものがありますが、できるものの場合でも行動順にペナルティーを受けたり、移動力の限界から攻撃できない (次の対象が移動可能範囲外) というのはよくある話だと思います。
D&D は変更できないパターンに含まれます。

Wiz の場合は D&D の再現というところもありますが、機種によりターゲットの選択パターンが異なるという点も無視できないと思います。
たとえば、前衛三人が敵の第一グループ五体を対象とした場合、FC 版などは五体 (A B C D E) に対し、三人が A B A を対象として攻撃しようとします。
このため、一人目と三人目のうち片方が敵を倒してしまうと行動がスキップされます。
この辺りは割と Apple ][ とかから踏襲している挙動だったと記憶しています。

後から出ている機種のものの場合、攻撃対象がいなくなると次の対象を自動選択する (ただし同一グループのみ) に変更されているものもあり、このパターンの場合はスキップされません。

呪文については戦闘開始時に詠唱を開始しているため取り消すことができない、というのが一つの理屈になると思います。

あと、i アプリ版 DQ3 ではキャラクターごとに自動行動させることができ、状況に合わせてベホマがザオリクに変わったりします。インチキです。(笑)
| 近藤@古代図書館 | EMAIL | URL | 12/09/16 02:16 | FBPQlkC. |
1)戦闘を開始。
2)P1が防御していても、クリティカルが出て死亡。
3)ヒールが死んだP1に行われる。MPが無駄に。

これってドラクエの標準的な戦闘パターンですよ。
初期だけでなくⅤやⅥ、番外編のモンスターズでも同様の現象がおきました。
回復魔法の使い手が素早さで一番でも、パーティーの誰かが死にそうなときに限って一番最後になって手遅れとか理不尽極まりないのがドラクエです。
おそらくは仕様だと思うのですが、最近のは改善されたのでしょうか?


1)戦闘開始。
2)P1がAを殴る。クリティカルが出てA死亡。
3)P2がAを殴ろうとして、1ターン無駄に。
4)P3がBを殴る。

これはFF2で体験しました。
FF4で攻撃対象を自動で変更できるようになりましたが、これが意外と不便だったりします。攻撃してはいけないモンスターを攻撃してしまい、カウンターで全滅とかありますのでw
とはいえ、リアルタイム方式で空振りするのも変ですけどね。
| take | EMAIL | URL | 12/09/15 22:01 | xq6P7ewk |
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