2011-05-20 Fri [ レビュー::ゲーム ]
ヒマを見て、ちまちま書いていた戦国無双 Chronicleのレビューがようやく書けたのでアップ。
一番最初の無双、真・三国無双(以下無双1)はPS2初期に登場した革命的なTPS形式(正確にはカメラが動かせないので俯瞰の変形になる)のアクションゲームだった。
当時、PS2は「能力がすごい」のはみんなわかっていたが、それをどう使うかについて試行錯誤をしている最中だった(能力はともかくおっそろしく使いにくいのも問題だったけれど。VUに散々悩まされた人も多いはずだ)。
その中に登場したのが真・三国無双だった。
ともかく表示能力を「ワラワラとたくさん出てくる敵に使う」切り口は革命的で、1作目はそこまでの注目は集めなかったが、口コミで人気を集め(僕は編集部で見て買った口)、シリーズ2作目でシステム的に大幅に改善されたことなどで、大ヒットして、いまや光栄の看板作品なわけだが…実は無双1は今の無双とはまるで違ったゲームだった。
正確に書くなら、今の無双に繋がる「大量の敵がワラワラと現れ、それをなぎ倒す快感」は第一作にもあったが、その程度がまるで違った。
今の無双は「やさしい」を選んだとき、ちょっとアクションが得意なプレイヤーなら呂布とぶつかりでもしない限り、死ぬことはまずない難易度だと思う。少なくとも僕は死なない。けれど無双1ではプレイヤーの操作する武将は確かに一騎当千だけど、初期レベルでは無敵の強さでは全然なくて、ちょっと敵の多いところに突撃するとあっさり死んでしまう、そんなリアルなバランスだった。
だから適正なレベルでプレイすると、プレイヤーは「味方の兵士が攻勢をかけてるっぽい場所で、少し先に出て、敵の名つき武将や強めのザコ敵を掃除しながら進んでいく」、リアルタイムのシミュレーションゲームのようなプレイを要求された(また、その逆で敵の攻勢がきつい場所にはヘルプで走らなければいけなかった)。
しかも状況によっては今の無双と同じように、突然伏兵が攻撃してきたり、ワナをかけてくるイベントが起こることもあり、それに対処しなければならなくなると、敵の真ん中を突っ切るのは危険なので、味方の側へ一度戻って安全なコースを抜けて名つき武将と戦うみたいな慎重なプレイが要求されたうえに、1面クリアするのに30分も40分もかかって、途中セーブ出来ないムチャな仕様で、ものすごくクリアの大変なゲームだった。
ところが、何度でも同じ面をプレイしてレベルを上げる事が出来たので、一生懸命レベルを上げると、今度はワンマンアーミーで、どっちかというと今の無双シリーズに近いヒーロー武将が敵をなぎ倒すゲームに変身した。その面白さがまたたまらず、敵がマップ上から1人もいなくなるまで倒したりして、いったいどんだけ遊んだのかわからないほど無双1は遊んだ。
この無双1が改良されて、ザコ敵が適当に(いい意味で)バカになって、ゲームシステムが様々な意味で改良された2が発売されたとき、どれだけ周囲に敵がたくさんいようと、一度にヒーローに切りかかるのはせいぜい2人の時代劇の殺陣に慣れているせいもあるのか、日本のプレイヤーのハートにばっちりフィットしたらしく大ヒットした。そして3あたりでシステムが一通り完成して、以降、信長などのシミュレーションに代わって光栄の看板シリーズとして君臨し、さらに戦国・トロイ(?)・ガンダムなどにまで舞台を拡げてきた。
で、今回取り上げる戦国無双Chronicle(以下戦国C)は三国無双6(PS3/X360)と並ぶ、光栄の看板シリーズの最新作ってことになる。
さて、戦国Cは3DSのローンチソフトでもあるので、結構「3D視」・すれ違い通信などなど、3DSの機能のプレゼンテーションをしなければならない側面があるけど、そういう宿命を背負ったローンチソフトのデキとしてみると「とてもいい」と思う。
まずグラフィックについて書くと、3D視についてはムービーは独特の奥行き感が感じられるし、レイヤー感があるおかげでボタンが分かりやすく宙に浮いていたりと3D感は強い。もちろんゲームの中も立体だ。メニューに立体感があると視認性があがり、慣れると2Dのメニューは認識しづらいと感じる事すらあるのは結構インパクトのある体験だった。でもタッチする側には3D視がないので普通のメニューで、そっちを触ると3D側が動くのは視線の移動なんかもあって、ユーザー体験としては微妙な問題を引き起こすのも事実。
また原理上仕方ないけれど、画面の端で切れるものの3D視が不安定になるのはムービー・メニュー・インゲームでチラチラ感を生み出す元になっていて、少々つらい瞬間はある。わかりやすい例を書くと塀の横で、ぐるぐる視界を回すと結構画面の端の3D視は不安定になる(普通はそんなことしないだろ? って突っ込みはナシの方向で)。
インゲームグラフィックスは3D視のおかげで距離がつかみやすいのはとてもありがたい。僕の持論で3D視は距離感が正確になるので、3Dアクションのジャンプに革命が起きるというのがあるのだけど、無双Cではその片鱗を見ることができる。
でも当たり前のことながら、グラフィックス自体はHD機に比べればツライし、さらに前述した無双の魅力の一つ「大量の敵をなぎ倒す」感じは結構薄い。
理由は、結構ちゃんと敵の数はいるのだけど、敵の塊のサイズが小さくて塊同士が距離をそこそことっているせいで、なぎ倒す感があまりないせいだ。これはローンチならではの弱点+3D問題が絡んでいるのだろう。
ローンチは売れるのはともかくハードに対するノウハウが極端に限られているので、どうしてもパフォーマンスは出ない。これに加えて3D視はレンダリングを2回しなければいけないので負荷が高い。3D視を無視すれば2倍のパフォーマンスが出るので、それで敵の数を増やす選択肢はあったはずだけど、そんなことをやったらローンチソフトとしては負けといわざるを得ないし、だいたい会社で「本気ですか? ナメてんですか?」とか言われてしまう。
だからグラフィックスについては、3D視・クオリティなどの基本はいいけれどノウハウ不足による敵の密度がやや薄めなのはいかんともしがたく、いいところも悪いところもあるって感じだ。ただ全体としてみたときは十分以上に合格点だと思う。
またすれ違い通信もとてもよく出来ている。すれ違ったプレイヤーとの戦闘も簡単ながらも面白いし、得た武器が弱くても強化のネタになるので、絶対に無駄にはならないから、損した気分になることはないと、いいところだらけだ。
もちろん、すれ違い通信は「オマケ」程度のノリだけど、オマケとしてみれば十分に嬉しいし、やはりプレゼンテーションとしては成功している。
と…
ここまでだけのゲームなら、戦国Cは無双を、新ハードのローンチに合わせて、そつなくまとめて出してきたようにみえるのだけど、戦国Cにはあっと驚く仕掛けが一つ入っている。
それは、戦国無双は「プレイヤーが最大4人のキャラクタの中から1人を操作し、なおかつ、複数のキャラクタを操作しないとクリア不可能な仕掛けが多数入っている」というシステム。これは正直、無双の革命、プレイ感をまったく変えてしまったといって間違いじゃない。
というところで、そのイベントシステムを解説するために、旧来の無双のイベントシステムをまず説明しよう。
と、こういうイベントシステム(今回はこれをミッションと呼んでいるのだけど、これって昔からミッションだったんだろうか…?)が無双1以来あるのだけど、ぶっちゃけた話、無双1の時代は敵が強かったので放置しておくと(かなり)まずかったけれど、今ではほとんど放置していても平気で、まれに問題が発生することもあるかも程度の、ま、空気みたいなものだった。はっきり書くなら、自分がマップの西にいるのに東側でイベント起こっても「やりたかったらやったらー?」で、めんどーくさいだけなので放置するのが当たり前になっていた。
なんか掃除しているうちに当たったら壊滅させればいいという程度で、イベント的な面白さの話をすると時代を超えたぶっ飛んだことが起こり、さらに演出的にも派手なBASARAのほうが(ロボットが空飛んできたりするんだから…)よほど楽しかった。
ところが戦国Cでは
システムによって、このミッションの意味がまるで変わってしまっている。
たとえば「複数の特別な敵を倒さなければ扉が開かない」なんて仕掛けが入っていて、キャラAでここを開け、キャラBでこっちを開けみたいなことをやらされたり、「30秒以内に東西に現れた補給部隊を倒せ」(今までのミッションではありえない)で、すばやく東のキャラクタに指示を出して東側へ向かわせると同時に、自分は西の補給部隊を壊滅させ、素早くキャラを切り替えて、東の敵をやっつけるなんて、ちょっとしたRTSとパズルが入り混じった、全く新しい無双像を提示している。
これは今まで単調になりがちだった無双のバトルにアクセントをつけると同時に、難易度の高いミッションでやりごたえが出て、結構難易度の高いミッションを綱渡り的タイミングでクリアしたときなど、思わず一人でコブシを握ってしまう面白さで、めっちゃすばらしい。
…のだけど、また反面、このミッション、おっそろしく荒削りなうえに問題が多いのも事実。
まず、当たり前だが両手で3DSを使ってる状態から、ミッションが発生するといきなりタッチスクリーンにタッチしろって話になる。切り替えだけなら、ぶっちゃけ指でもタッチできるからいいといえばいいけれど、間違っても任天堂はタッチパネルを指で触るのは推奨していない。もちろんスピード感を重視するならそれのがいいのだけど、まあタッチ面には指紋はベタベタとついていく。
さらにPC以外に対する指示の方法がとてもわかりにくく(チュートリアルでまともに説明されるとは言いがたい)、うまく動かなかったりするし、マップが今までの据え置きと同じ感覚で作ってあるために、アイコンなどが小さくて正直見づらい。だからさっき書いた複数の門を開けるミッションなんか、どこに門があるのかを探すのも一苦労だったりする(ミッションマップを開いて詳細にチェックしないとわかりにくいぐらい)。
おまけにチュートリアルが正直乱暴な上に中途半端なので、無双の常識(複数キャラを使わないとクリアできないなんて想像していないってこと)に囚われていた僕は、最初に門を開けなければクリア不可能なマップでは、主人公で左側のマップを一周した挙句に、開けられないのに気がついて、ようやくキャラクタチェンジする理由が分かったぐらいだ。
でもだ。
いろいろな操作上の問題をはらんでいながらも、このミッションは圧倒的に面白い。疑いもなく無双のプレイ感覚を一変させた全く新しいシステムと言って過言じゃない。だから、本家にも持ち込んで欲しいと思うし、続編でもこれは継承して欲しい。
というわけで、戦国無双Chronicleは、荒いところも多々あるけれど、グラフィックのクオリティは高いしすれ違いの出来もいい。一部操作に問題はあるけれど、今までの無双のプレイ感を一新するミッションは疑いもなくすばらしい。
だから、戦国無双Chronicleは、お勧めできる傑作だと思っているし、無双が好きな人も、そうでなくとも楽しめる作品なのは間違いなかろうか。
一番最初の無双、真・三国無双(以下無双1)はPS2初期に登場した革命的なTPS形式(正確にはカメラが動かせないので俯瞰の変形になる)のアクションゲームだった。
当時、PS2は「能力がすごい」のはみんなわかっていたが、それをどう使うかについて試行錯誤をしている最中だった(能力はともかくおっそろしく使いにくいのも問題だったけれど。VUに散々悩まされた人も多いはずだ)。
その中に登場したのが真・三国無双だった。
ともかく表示能力を「ワラワラとたくさん出てくる敵に使う」切り口は革命的で、1作目はそこまでの注目は集めなかったが、口コミで人気を集め(僕は編集部で見て買った口)、シリーズ2作目でシステム的に大幅に改善されたことなどで、大ヒットして、いまや光栄の看板作品なわけだが…実は無双1は今の無双とはまるで違ったゲームだった。
正確に書くなら、今の無双に繋がる「大量の敵がワラワラと現れ、それをなぎ倒す快感」は第一作にもあったが、その程度がまるで違った。
ちなみにユーザーのみなさんの大半は忘れていると思われるが、「真」がついていない無双は格闘ゲームだった。
そして孔明ビームもここで初登場したりしてて、実は僕なんざけっこー好きだったりするのだけど、それはともかくとして。
そして孔明ビームもここで初登場したりしてて、実は僕なんざけっこー好きだったりするのだけど、それはともかくとして。
今の無双は「やさしい」を選んだとき、ちょっとアクションが得意なプレイヤーなら呂布とぶつかりでもしない限り、死ぬことはまずない難易度だと思う。少なくとも僕は死なない。けれど無双1ではプレイヤーの操作する武将は確かに一騎当千だけど、初期レベルでは無敵の強さでは全然なくて、ちょっと敵の多いところに突撃するとあっさり死んでしまう、そんなリアルなバランスだった。
だから適正なレベルでプレイすると、プレイヤーは「味方の兵士が攻勢をかけてるっぽい場所で、少し先に出て、敵の名つき武将や強めのザコ敵を掃除しながら進んでいく」、リアルタイムのシミュレーションゲームのようなプレイを要求された(また、その逆で敵の攻勢がきつい場所にはヘルプで走らなければいけなかった)。
しかも状況によっては今の無双と同じように、突然伏兵が攻撃してきたり、ワナをかけてくるイベントが起こることもあり、それに対処しなければならなくなると、敵の真ん中を突っ切るのは危険なので、味方の側へ一度戻って安全なコースを抜けて名つき武将と戦うみたいな慎重なプレイが要求されたうえに、1面クリアするのに30分も40分もかかって、途中セーブ出来ないムチャな仕様で、ものすごくクリアの大変なゲームだった。
ところが、何度でも同じ面をプレイしてレベルを上げる事が出来たので、一生懸命レベルを上げると、今度はワンマンアーミーで、どっちかというと今の無双シリーズに近いヒーロー武将が敵をなぎ倒すゲームに変身した。その面白さがまたたまらず、敵がマップ上から1人もいなくなるまで倒したりして、いったいどんだけ遊んだのかわからないほど無双1は遊んだ。
この無双1が改良されて、ザコ敵が適当に(いい意味で)バカになって、ゲームシステムが様々な意味で改良された2が発売されたとき、どれだけ周囲に敵がたくさんいようと、一度にヒーローに切りかかるのはせいぜい2人の時代劇の殺陣に慣れているせいもあるのか、日本のプレイヤーのハートにばっちりフィットしたらしく大ヒットした。そして3あたりでシステムが一通り完成して、以降、信長などのシミュレーションに代わって光栄の看板シリーズとして君臨し、さらに戦国・トロイ(?)・ガンダムなどにまで舞台を拡げてきた。
で、今回取り上げる戦国無双Chronicle(以下戦国C)は三国無双6(PS3/X360)と並ぶ、光栄の看板シリーズの最新作ってことになる。
さて、戦国Cは3DSのローンチソフトでもあるので、結構「3D視」・すれ違い通信などなど、3DSの機能のプレゼンテーションをしなければならない側面があるけど、そういう宿命を背負ったローンチソフトのデキとしてみると「とてもいい」と思う。
もちろん、プレゼンテーションなんてしったことかいって選択肢も、独立したサードパーティなのだからあり得るけれど、普通「しったことかい」をやる度胸のある企画者はいないほうに賭けてもいいし、やった結果がいいはずもない。
まずグラフィックについて書くと、3D視についてはムービーは独特の奥行き感が感じられるし、レイヤー感があるおかげでボタンが分かりやすく宙に浮いていたりと3D感は強い。もちろんゲームの中も立体だ。メニューに立体感があると視認性があがり、慣れると2Dのメニューは認識しづらいと感じる事すらあるのは結構インパクトのある体験だった。でもタッチする側には3D視がないので普通のメニューで、そっちを触ると3D側が動くのは視線の移動なんかもあって、ユーザー体験としては微妙な問題を引き起こすのも事実。
また原理上仕方ないけれど、画面の端で切れるものの3D視が不安定になるのはムービー・メニュー・インゲームでチラチラ感を生み出す元になっていて、少々つらい瞬間はある。わかりやすい例を書くと塀の横で、ぐるぐる視界を回すと結構画面の端の3D視は不安定になる(普通はそんなことしないだろ? って突っ込みはナシの方向で)。
この3D視は人によって本当に違うらしく、僕はまるで平気だけど、あいざわひろしは3Dには見えるがチラつくのが好きにはなれないという。
そして会社の日本語の通訳の女の子に至っては、見ただけで「うわー私ダメ! やめてー」。もう慣れの問題を越えたところだ。
ここらへんを慣れるという人もいるが、たとえば僕の友達で最古参レビュワーの一人、ウォルフ中村は94年以降17年も3Dゲームのレビューをやっているわけだが相変わらず酔うし、僕の友達でやはり同じように酔うヤツがいるので、もはや酔う・酔わないは体質の問題で慣れられるものではないと思う。
そして同じ理由で、この3D視も無理な人間には無理だろうと思っている(少なくとも、僕の友達の3D酔いの結構ひどいヤツは見ただけで「絶対ダメ」と断言した)。
そして会社の日本語の通訳の女の子に至っては、見ただけで「うわー私ダメ! やめてー」。もう慣れの問題を越えたところだ。
ここらへんを慣れるという人もいるが、たとえば僕の友達で最古参レビュワーの一人、ウォルフ中村は94年以降17年も3Dゲームのレビューをやっているわけだが相変わらず酔うし、僕の友達でやはり同じように酔うヤツがいるので、もはや酔う・酔わないは体質の問題で慣れられるものではないと思う。
そして同じ理由で、この3D視も無理な人間には無理だろうと思っている(少なくとも、僕の友達の3D酔いの結構ひどいヤツは見ただけで「絶対ダメ」と断言した)。
インゲームグラフィックスは3D視のおかげで距離がつかみやすいのはとてもありがたい。僕の持論で3D視は距離感が正確になるので、3Dアクションのジャンプに革命が起きるというのがあるのだけど、無双Cではその片鱗を見ることができる。
でも当たり前のことながら、グラフィックス自体はHD機に比べればツライし、さらに前述した無双の魅力の一つ「大量の敵をなぎ倒す」感じは結構薄い。
理由は、結構ちゃんと敵の数はいるのだけど、敵の塊のサイズが小さくて塊同士が距離をそこそことっているせいで、なぎ倒す感があまりないせいだ。これはローンチならではの弱点+3D問題が絡んでいるのだろう。
ローンチは売れるのはともかくハードに対するノウハウが極端に限られているので、どうしてもパフォーマンスは出ない。これに加えて3D視はレンダリングを2回しなければいけないので負荷が高い。3D視を無視すれば2倍のパフォーマンスが出るので、それで敵の数を増やす選択肢はあったはずだけど、そんなことをやったらローンチソフトとしては負けといわざるを得ないし、だいたい会社で「本気ですか? ナメてんですか?」とか言われてしまう。
だからグラフィックスについては、3D視・クオリティなどの基本はいいけれどノウハウ不足による敵の密度がやや薄めなのはいかんともしがたく、いいところも悪いところもあるって感じだ。ただ全体としてみたときは十分以上に合格点だと思う。
またすれ違い通信もとてもよく出来ている。すれ違ったプレイヤーとの戦闘も簡単ながらも面白いし、得た武器が弱くても強化のネタになるので、絶対に無駄にはならないから、損した気分になることはないと、いいところだらけだ。
もちろん、すれ違い通信は「オマケ」程度のノリだけど、オマケとしてみれば十分に嬉しいし、やはりプレゼンテーションとしては成功している。
と…
ここまでだけのゲームなら、戦国Cは無双を、新ハードのローンチに合わせて、そつなくまとめて出してきたようにみえるのだけど、戦国Cにはあっと驚く仕掛けが一つ入っている。
それは、戦国無双は「プレイヤーが最大4人のキャラクタの中から1人を操作し、なおかつ、複数のキャラクタを操作しないとクリア不可能な仕掛けが多数入っている」というシステム。これは正直、無双の革命、プレイ感をまったく変えてしまったといって間違いじゃない。
というところで、そのイベントシステムを解説するために、旧来の無双のイベントシステムをまず説明しよう。
1)適当に戦場を走り回っていると「AにてBが攻撃開始!」みたいなメッセージが出て、Bを撃破せよ、みたいな話になる。
2)Aに走っていく。Bを撃破する。
3)しばらくするとまた(1)のようなイベントが発生し、1)に戻る。
2)Aに走っていく。Bを撃破する。
3)しばらくするとまた(1)のようなイベントが発生し、1)に戻る。
と、こういうイベントシステム(今回はこれをミッションと呼んでいるのだけど、これって昔からミッションだったんだろうか…?)が無双1以来あるのだけど、ぶっちゃけた話、無双1の時代は敵が強かったので放置しておくと(かなり)まずかったけれど、今ではほとんど放置していても平気で、まれに問題が発生することもあるかも程度の、ま、空気みたいなものだった。はっきり書くなら、自分がマップの西にいるのに東側でイベント起こっても「やりたかったらやったらー?」で、めんどーくさいだけなので放置するのが当たり前になっていた。
なんか掃除しているうちに当たったら壊滅させればいいという程度で、イベント的な面白さの話をすると時代を超えたぶっ飛んだことが起こり、さらに演出的にも派手なBASARAのほうが(ロボットが空飛んできたりするんだから…)よほど楽しかった。
ところが戦国Cでは
■複数の操作可能なキャラクタがマップの上にいて
■それらのキャラクタに指示を出して移動させることが出来て(戦闘しながら移動するらしく、プレイヤーが操作するより移動は遅い
■プレイヤーキャラクタ自体を自由に切り替えることが出来る
■それらのキャラクタに指示を出して移動させることが出来て(戦闘しながら移動するらしく、プレイヤーが操作するより移動は遅い
■プレイヤーキャラクタ自体を自由に切り替えることが出来る
システムによって、このミッションの意味がまるで変わってしまっている。
たとえば「複数の特別な敵を倒さなければ扉が開かない」なんて仕掛けが入っていて、キャラAでここを開け、キャラBでこっちを開けみたいなことをやらされたり、「30秒以内に東西に現れた補給部隊を倒せ」(今までのミッションではありえない)で、すばやく東のキャラクタに指示を出して東側へ向かわせると同時に、自分は西の補給部隊を壊滅させ、素早くキャラを切り替えて、東の敵をやっつけるなんて、ちょっとしたRTSとパズルが入り混じった、全く新しい無双像を提示している。
これは今まで単調になりがちだった無双のバトルにアクセントをつけると同時に、難易度の高いミッションでやりごたえが出て、結構難易度の高いミッションを綱渡り的タイミングでクリアしたときなど、思わず一人でコブシを握ってしまう面白さで、めっちゃすばらしい。
…のだけど、また反面、このミッション、おっそろしく荒削りなうえに問題が多いのも事実。
まず、当たり前だが両手で3DSを使ってる状態から、ミッションが発生するといきなりタッチスクリーンにタッチしろって話になる。切り替えだけなら、ぶっちゃけ指でもタッチできるからいいといえばいいけれど、間違っても任天堂はタッチパネルを指で触るのは推奨していない。もちろんスピード感を重視するならそれのがいいのだけど、まあタッチ面には指紋はベタベタとついていく。
さらにPC以外に対する指示の方法がとてもわかりにくく(チュートリアルでまともに説明されるとは言いがたい)、うまく動かなかったりするし、マップが今までの据え置きと同じ感覚で作ってあるために、アイコンなどが小さくて正直見づらい。だからさっき書いた複数の門を開けるミッションなんか、どこに門があるのかを探すのも一苦労だったりする(ミッションマップを開いて詳細にチェックしないとわかりにくいぐらい)。
おまけにチュートリアルが正直乱暴な上に中途半端なので、無双の常識(複数キャラを使わないとクリアできないなんて想像していないってこと)に囚われていた僕は、最初に門を開けなければクリア不可能なマップでは、主人公で左側のマップを一周した挙句に、開けられないのに気がついて、ようやくキャラクタチェンジする理由が分かったぐらいだ。
でもだ。
いろいろな操作上の問題をはらんでいながらも、このミッションは圧倒的に面白い。疑いもなく無双のプレイ感覚を一変させた全く新しいシステムと言って過言じゃない。だから、本家にも持ち込んで欲しいと思うし、続編でもこれは継承して欲しい。
というわけで、戦国無双Chronicleは、荒いところも多々あるけれど、グラフィックのクオリティは高いしすれ違いの出来もいい。一部操作に問題はあるけれど、今までの無双のプレイ感を一新するミッションは疑いもなくすばらしい。
だから、戦国無双Chronicleは、お勧めできる傑作だと思っているし、無双が好きな人も、そうでなくとも楽しめる作品なのは間違いなかろうか。
コメント
あー僕、それは気がついてなかったですね。
たまに「ん?」と思うときはあったんですが、そうか…ちょっと意図的にやってみます。
たまに「ん?」と思うときはあったんですが、そうか…ちょっと意図的にやってみます。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 11/05/25 23:36 | 0GxDfQ/U |
お邪魔いたします。
モブ敵が一定数固まると、一部が画面から消えてしまうのも残念なところですね(雑魚、武将問わず)。
おかげでエリア侵入阻止ミッションが失敗ということもよくあります。
処理が追いついていないんでしょうかね…
モブ敵が一定数固まると、一部が画面から消えてしまうのも残念なところですね(雑魚、武将問わず)。
おかげでエリア侵入阻止ミッションが失敗ということもよくあります。
処理が追いついていないんでしょうかね…
| 無式 | EMAIL | URL | 11/05/25 23:05 | NAzRrdR. |
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