2011-03-03 Thu [ ゲームについて::理屈のこと ]
このブログの横についている、アマゾンのアフィリエイトというヤツはまったくクリックされないといっていい(本当は数字を書いたほうがより面白いのだけど、アマゾンの規約で書くことができないのが残念だ)。
結構メンテはしてても、まさに置いてあるだけといっていい代物なのだけど、その中で唯一売れていて、そしてもっと売れてほしい、絶対に知られるべきだと思っている『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』について、ちょっと書いてみたい。
はるか遠い昔、1990年代前半に、はじめて(ゲームのためもあったけれど)小説や脚本マガイのものを書けるようになろう! そのために一本小説(もしくは脚本)を書いてみよう! と思い立ったとき、はたと困ったのが「どんな風にして話を作っていくのか?」だった。
良くお話は起承転結を考えて…というが、その起承転結と実際の小説、例えばトーマス・マンの『魔の山』やそれとも映画『スタートレック』の間には深くて広い川があるのは誰でもわかるだろう。
そして僕は、川を渡る方法を知りたいとき、ともかく先人達の業績の集大成、簡単に書くならノウハウ本とか教科書を読む人なので、書店に走り、片っ端から立ち読みした。
わかったことは「何の役にも立たないゴミばかり」ということだった。
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結構メンテはしてても、まさに置いてあるだけといっていい代物なのだけど、その中で唯一売れていて、そしてもっと売れてほしい、絶対に知られるべきだと思っている『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術』について、ちょっと書いてみたい。
ちなみに2番目に売れているのが、桝田さんの『ゲームデザイン脳』、3番目が『PINBALL HALL OF FAME WILLIAMS COLLECTION』で、その他のゲームはさっぱり売れたことがない。きている読者がどういう人種なのか想像がつく気もするが、それはまあいい。
はるか遠い昔、1990年代前半に、はじめて(ゲームのためもあったけれど)小説や脚本マガイのものを書けるようになろう! そのために一本小説(もしくは脚本)を書いてみよう! と思い立ったとき、はたと困ったのが「どんな風にして話を作っていくのか?」だった。
良くお話は起承転結を考えて…というが、その起承転結と実際の小説、例えばトーマス・マンの『魔の山』やそれとも映画『スタートレック』の間には深くて広い川があるのは誰でもわかるだろう。
そして僕は、川を渡る方法を知りたいとき、ともかく先人達の業績の集大成、簡単に書くならノウハウ本とか教科書を読む人なので、書店に走り、片っ端から立ち読みした。
わかったことは「何の役にも立たないゴミばかり」ということだった。
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2010-10-28 Thu [ ゲームについて::理屈のこと ]
ある人のツイート
本来ゲームとは操作をしてその結果を楽しむものだと思うのです。最近のFFに代表されるムービーだったりグラフィックを綺麗にしていくものではないと思うのですがね、どこで間違えたんでしょうか?
本来ゲームとは操作をしてその結果を楽しむものだと思うのです。最近のFFに代表されるムービーだったりグラフィックを綺麗にしていくものではないと思うのですがね、どこで間違えたんでしょうか?
から話は始まる。
これを読んでウンウンと思った人は、まるで間違っている。
これは主に金のかかった(ムービーやグラフィックが華麗な)大作を貶すときに多用される「本当に面白いゲームはグラフィックが○と×だけになっても面白い」という僕が○×理論と呼んでいるものの変形で、ゲームをプレイする人に非常に見られる俗論だ。
常々、どうかと思っていたので、簡単に反論を書いてみたい。
というわけで反論。
3Dカーレースは間違っても○Xだけでは出来ない。以上終わり。
エ? 簡単すぎる? じゃ、追加。
カーレースを例に挙げて、まずグラフィックス。
グラフィックの表現は非常に重要だ。トンネルに入ったとき目の認識が追いつかず視界が暗くなることや、外に出るときブルーミングで明るくなり、視界が失われるといったことは当然ゲームに影響を与える。これらはいわゆるHDR処理で、PS2程度のマシンでは非常に困難だ(出来ないわけではないがフレームレートなどに大きな影響を与える)。
当たり前だが、昼夜を切り替えるためにはライトの処理が出来なければならない。天候を入れたくなったら、雨や雪、さらにダートの場合のダートの処理、いくらでも必要なグラフィックス処理はある。しかも雨や雪はリアルタイムに道路に影響を及ぼすべきだ。雨が降ったら道路は反射する。水を跳ね上げて、ウォータースクリーンが出来る。
物理エンジンの問題もある。カーレースなら物理エンジンが使えるかどうかでゲームそのものが全く変わる。物理エンジンを使うと、途方もないパワーが必要で、カーレース系で中心的に使われる剛体物理(ridged physicsと呼ばれる)ですら、完璧でなく、マシンパワーもまだ全然足りない状態だ。
つまりそれなりにリアルに楽しめるカーレースを遊びたいと思うなら○や×では話にならないし、グラフィックス・計算能力のどちらもいまですら全くパワーは足りていない。
これはこの手の現実をベースにしたリアルタイムシミュレーション系全てでそうだ。カーレース・フライトシミュレータ・電車などなど、シミュレータを作りたいと思うと、自動的に○や×では話にならないのは明らかだ。
全くの余談だがGT5やForzaの『バグ動画』だのと揶揄される物理挙動があるが、PS2でカーレースに関わったとき、物理エンジンの素晴らしさと難しさをしみじみ味わった人間としては、あれをバグという気はない。あれは現在のゲームで供給可能な物理エンジンの持つ限界で、いかんともしがたい。物理エンジンを真面目に作ったからこそ起こる問題だ。笑える現象なのは事実だが、あれをバグと揶揄する人間に対しては「テメエが作ってから言え」と本気で言いたくなる。
シミュレーションは除く?
除いたところで状況は変わらない。
例えばスニーキングゲームを作りたいとする。それにライトの表現を入れたいとする。ライトを壊したり消したりすると辺りが暗くなるのを利用するという設定だ。光の処理は「今のマシンですら全く完全ではない」。つまり今でもこれを見て不自然でなくゲームにするのは難しい。(それでもスプリンターセルである程度実現されていた。頑張っていたソフトである)
もちろんライトの表現など○×ではやりようがないので、作りようもないゲームだ。
うっそうと茂った森の中でドンパチするTPS作りたいなら、森が表現できないといけない。FCのグラフィックスではほぼ不可能なのはもちろん言うまでもないし、○×では当然表現できない。
カギのかかったドアを(仕込ではなく)銃で壊せるのか、それとも壊せないのか? ゲームの作りそのものに影響を及ぼす大問題だ。しかもこれはグラフィック・物理エンジンなどの双方に影響を及ぼす複雑な問題で、もちろん○×じゃ表現のしようがない。
ライトの表現も森もゲームの本質には必要ない? カギのかかった扉はカギ以外では開かないで構わない? それこそゲームをバカにした意見だ。
ゾンビがいるかも知れないダンジョンをさまよい歩くゲームでライトで照らしたところにゾンビが見えたら冷や汗なのは確かだし、森でカモフラージュしている敵を狙撃するTPSだって楽しく作れる(ピースウォーカーなんか巧妙にカモフラージュした敵を見つけると嬉しくなるぞ)。ロケットランチャーをぶっ放しても壊れないドアはどうなんだと普通は思うだろう。
そういうものが○Xで表現出来るならどうするのか説明して欲しいものだ。
と、いくつか例を挙げたけど、もう十分だろう。○×では作りようがない、表現のしようのないことがゲームには山のようにある。つまり、面白いゲームは○や×にしても面白いなんて現代コンソール/PCゲームをマジメにプレイしたことがあると思えない暴論だ。
またグラフィック「のみ」きれいにしたゲーム…とかそういう表現もおかしい。プリレンダムービーとゲーム画面で落差があると、散々文句を言われていたのだから、ゲーム画面がキレいになってプリレンダと区別がつきにくいのは素晴らしいことではないか。
(まあ今はプリレンダよりもインゲームムービーの方が主流になりつつあるけれど)
それに表現力の制限は少ない方がいいに決まっている。どんな表現も問題なく出来る状態でなにを表現するのかを選択できる方が表現をする側にとって、ありがたいのは間違いない。
もちろん、追求した結果、精細なグラフィックを作るのにやたら金がかかったり、作るのに手間がかかるようになったという問題が発生し、制作上の困難を引き起こしているのは確かだが、それはまた別の問題だ。
ところで、この○×にしても面白いゲームがいいゲーム理論は、テレビゲーム黎明期の1980年代前半まではギリギリ成り立つ論理だったと思う。
なぜなら、当時のゲームはPSG3音+せいぜいスプライト数十個、出せる色の数が64を超えれば多いほうで、2D表現以外はほぼ出来なかったし(半透明すらない!)、声なし・絵もアニメーションなんて問題外で、1枚絵程度ですら無理…という程度の表現力だ。ここで、グラフィックを全部とっぱらって○×だけにしても、結構ゲームは成り立つ。面白さの落ち方も低い。それに表現力がないから、アイディア勝負になる。
つまり、1980年代前半まではゲームの表現力が恐ろしくヘボかったから、表現力をほぼゼロにしてもゲームが成り立ったが、表現力が圧倒的に増したイマドキのゲームでゲームの面白さは○×でも構わないだの、グラフィックとゲームの面白さは一致しないなんてチャンチャラおかしいということだ。
2010-10-20 Wed [ ゲームについて::理屈のこと ]
ソーシャルゲームとは何か、を考えるために、ある極端なゲームをデザインした。
■ゲーム内容
ランキングで点数を競い合う。ランキングには3種類あり、フレンドとそれ以外に分れる。またフレンド全体が一つのチームになって、チームランキングもある。
■ゲーム画面
ボタンが一つとあと、フレンドリストがある。フレンドは「ゲームに参加している人」はカラーで、参加してない人は灰色で表示される。
○ボタン部
一定間隔で押せる。 次にボタンを押せるまでの残り時間が表示される。
○参加しているフレンド
参加しているフレンドを選ぶと、フレンドゲーム画面が出る。
フレンドゲーム画面には「応援する」、「すごく応援する」、「友達の友達からポイントをいただく」の3種類のボタンがある。
一定間隔でどれかを押すことが出来る。一度に押せるのは一つ。
○参加していないフレンド
選ぶと「参加しない?」とメールを送れる。
■起こること
○メインのボタン
「ピッタリ」で押すと10点、1分以内だと9点、10分以内だと5点、それ以外は1点。点数が増えるに従って、次にボタンを押せるまでの時間が延びていく。
友達を誘い、友達が入ると、自分には100点、友達には50点が手に入る。
○応援する
相手の待ち時間が減る。待ち時間が0の場合には次の待ち時間が減る。つまり待ち時間が減る量は加算される。待ち時間が0で応援すると、自分に1点入る。
○すごく応援する
一定間隔に一人にしか使えない。ものすごく待ち時間が減る。
○友達の友達からポイントをいただく
押すと「友達の友達」がランダムに選ばれ、いただくかどうか聞かれる。名前は分からないが、相手と自分のポイント差などから計算される「戦闘力」と「防御力」で盗めるかどうか決まる。
難しいほど盗む量は大きくなる。盗める最大量は1000。
■マネタイズ
ボタンを押す時間を縮める有料アイテム・盗むときに使えるアイテムなど。
■まとめ
いわゆる「ゲーム」とされる部分は、従来のコンソールの感覚からすれば「ゲームの体をなしていない」。オンゲーから見てもそうだろう。
だが、それでもこれはゲームとして成り立つ。それはソーシャルゲームが「ゲームだけではなく、ゲームをプレイする人間まで含めたシステム」として機能するからだ。
そこまで含めてゲームを見ないと、ソーシャルゲームは理解できないと思ってる。
プレイヤーまで含めたゲームデザインが必要だと、自戒としてメモ代わりにおいておく。
■ゲーム内容
ランキングで点数を競い合う。ランキングには3種類あり、フレンドとそれ以外に分れる。またフレンド全体が一つのチームになって、チームランキングもある。
■ゲーム画面
ボタンが一つとあと、フレンドリストがある。フレンドは「ゲームに参加している人」はカラーで、参加してない人は灰色で表示される。
○ボタン部
一定間隔で押せる。 次にボタンを押せるまでの残り時間が表示される。
○参加しているフレンド
参加しているフレンドを選ぶと、フレンドゲーム画面が出る。
フレンドゲーム画面には「応援する」、「すごく応援する」、「友達の友達からポイントをいただく」の3種類のボタンがある。
一定間隔でどれかを押すことが出来る。一度に押せるのは一つ。
○参加していないフレンド
選ぶと「参加しない?」とメールを送れる。
■起こること
○メインのボタン
「ピッタリ」で押すと10点、1分以内だと9点、10分以内だと5点、それ以外は1点。点数が増えるに従って、次にボタンを押せるまでの時間が延びていく。
友達を誘い、友達が入ると、自分には100点、友達には50点が手に入る。
○応援する
相手の待ち時間が減る。待ち時間が0の場合には次の待ち時間が減る。つまり待ち時間が減る量は加算される。待ち時間が0で応援すると、自分に1点入る。
○すごく応援する
一定間隔に一人にしか使えない。ものすごく待ち時間が減る。
○友達の友達からポイントをいただく
押すと「友達の友達」がランダムに選ばれ、いただくかどうか聞かれる。名前は分からないが、相手と自分のポイント差などから計算される「戦闘力」と「防御力」で盗めるかどうか決まる。
難しいほど盗む量は大きくなる。盗める最大量は1000。
■マネタイズ
ボタンを押す時間を縮める有料アイテム・盗むときに使えるアイテムなど。
■まとめ
いわゆる「ゲーム」とされる部分は、従来のコンソールの感覚からすれば「ゲームの体をなしていない」。オンゲーから見てもそうだろう。
だが、それでもこれはゲームとして成り立つ。それはソーシャルゲームが「ゲームだけではなく、ゲームをプレイする人間まで含めたシステム」として機能するからだ。
そこまで含めてゲームを見ないと、ソーシャルゲームは理解できないと思ってる。
プレイヤーまで含めたゲームデザインが必要だと、自戒としてメモ代わりにおいておく。
2010-04-18 Sun [ ゲームについて::理屈のこと ]
和田社長の主張:
http://twitter.com/yoichiw/statuses/11572268643
について。
僕はそうは思わない、どー考えても和田社長は間違っていると思う。
これを正しいと思うゲームデザイナーがいるなら、ちょっとそれってQTEを勘違いしてねえか、と思う。
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http://twitter.com/yoichiw/statuses/11572268643
HEAVY RAIN ③ユーザー関与の第二はQTE。昔からこれ無理があると思っているんです。God of War なんぞは名作ですけどね。アンチャ2やMWF2シングルモードで、「プレイしながら格好良い」は実現できてるんで、QTEは古いかな。
について。
僕はそうは思わない、どー考えても和田社長は間違っていると思う。
これを正しいと思うゲームデザイナーがいるなら、ちょっとそれってQTEを勘違いしてねえか、と思う。
続きを読む▽