2010-11-14 Sun [ レビュー::ゲーム ]
しばらくトリック・ロジックというゲームにとてもハマっていた。
で、あまりに楽しかったモノで、Twitterで「トリック・ロジックのシーズン3やりたいなあ」とつぶやいたところ、作者の方の一人(企画に深く関わられたらしい)我孫子先生が
しかも「結構いい数字まで来ていて、あとちょっとなんですよ…」などとつぶやかれる始末である!
というわけでシーズン3をプレイしたい僕としては、応援企画としてトリロジはこんなに面白いぞよ、という記事を書こうと、思い立ったわけだ。
さて、トリック・ロジックは、いわば推理小説を題材にした、新しいスタイルのゲームマシン(というかコンピュータ)で可能な読書+ゲーム体験。
推理系ゲームといえば激戦区で、遙か遠い昔に発売されたinfocomの"DEADLINE"なんて信じがたいほどの名作から始まって、もちろん堀井雄二氏のポートピア殺人事件・オホーツクに消ゆ、J.B.ハロルドシリーズ、チュンソフト自身のかまいたちの夜などなど、うなるほど名作があるわけだけど、トリック・ロジックはかなり革命的に新しい。
正直、今まであったどんなゲームとも違うスタイルなので(絶無というわけではないが、少なくとも似たようなメジャーゲームはないと思う)、説明が大変なのだけど、ともかく書いてみる。
(1)普通に最初から最後まで推理小説を読む
流れとしてはだいたい普通の推理小説の結構と思っていいが解決が無い。だいたい最後に犯人は目の前とか書いてあるのだが、全く五里霧中で「エー?犯人わかったとかナメてんの?」と言いたくなることが大半。
(2)読み終わると、調書が現れる
調書は「盗んだ方法を説明するヒラメキを入れろ」みたいないくつかの質問と「ヒラメキ(推理することで得られるアイテムのようなもの)」を入れる答え欄、そして犯人の指定の3つから成り立っている。
ここで重要なのは質問。質問がある程度、ヒントになっているので読んでおくことが大事だ。
(3)本文を好きに読めるようになり、いよいよ推理が始まる
本文からキーワードを抜き出し、そこからナゾを作り、ナゾからヒラメキを作っていく。
(4)調書完成
答え欄にヒラメキを入れ、犯人を指定して「調書完成!」とやると解決篇に進み、名探偵がかっこよく推理していく(たいていは解決篇の途中でも、いくつかの質問が行われる)。そして推理が間違っているとやり直し。正しいと「お前すげえよ!」となり、オマケが少しついて次のシナリオに進む。
と、このようなゲームだが、抜群に新しいのが、調書を作るために必要な「ヒラメキ」というアイディア。
図を見て欲しいが、一度通読すると、本文をどこでも自由に読めるようになると同時に、あちこちの文章をキーワードとして組み合わせて推理できるようになる(推理スロットというものがあり、それに本当にキーワードを入れる)。
例から説明すると、「靴下が濡れていた」、「快晴だった」という二つのキーワードを組み合わせて推理すると「なぜ靴下は濡れていたのか?」なんて「ナゾ(新しいキーワード)」が出来上がる。
そして、このナゾとさらにキーワード「風呂場の床が濡れていた」を組みあわせると「被害者は風呂場で殺された!」という「ヒラメキ」が手に入り、このヒラメキを調書に入れれば事件は解決! という仕掛けだ。
図でわかるとおり、キーワードを組み合わせることで、気になる事(ナゾ)を導きだし、そのナゾと、さらに本文のキーワードを組み合わせることで、真相を指し示すヒラメキを生み出す、という2段階の構造になっているところがミソ。
で、図のようにズバーン! と真相を見いだせればとても気持ちいいのだけれど、一筋縄ではいかないことに、ナゾとヒラメキのどちらも嘘八百が大量に出来上がる。
上の例だと「洗濯機があった」というキーワードが他にあり「なぜ靴下は濡れていた?」と組み合わせると「被害者は洗濯していて感電した!」なんてウソヒラメキが出来る。もちろん「調書完成!」も間違いになる。
こんな間違いをしないために、キーワードからナゾを導き出し、ナゾを集めて、犯人や犯行のやり方を推理して、いらないナゾを捨て、必要なナゾとキーワードを組み合わせて、ヒラメキを導きだすことを徹底してやって、初めて、真犯人を暴き出せる。
間違いなく、とても斬新なパズル兼読書ゲームで、面白くて安くてお勧めしたいのだが、正直、いくつか大きな問題がある。
第一の問題が「合う・合わない」。
僕は面白い! と書いたが、それは読書が好きで、推理小説が好きだからだ。
このゲームは、文字通りフツーに推理小説を読んで、次に散々読み込んで、あーでもない・こーでもないとひたすら文章とにらめっこするゲームで、どう考えても少々マニアックなゲームだ。
まあ、この「合う・合わない」はPSNに体験版があるので、プレイして見極めてほしいのだけれど--
ここで第二の問題が登場する。それは体験版の難易度が微妙。
どんなキーワードからナゾを導き出すか、いかにしてナゾからヒラメキを導き出すか? がゲームのポイントだけど、練習篇(体験版)ではあまりに簡単にヒラメキが出来てしまい、どういうルールでナゾとヒラメキが出来るのかをしっかりと把握できないうちに終わってしまう(実際、僕も初めて体験版をプレイしたとき、簡単に終わってしまって「エ?」だった)。
そして製品版では最初のシナリオから体験版とは比較にならないほど難易度が高く、ナゾからヒラメキを導き出せず、大量にあるキーワードを総当りで調べるハメになってしまう。
で、3つめぐらいまで四苦八苦しながら進めると、ナゾとヒラメキのルールが分かるようになって「ナゾは全て解けた!」とかホザいたりするわけだけど、ともかく最初の2つぐらいは四苦八苦。投げてしまう人がいても驚かない難しさ、といわざるを得ない。練習用にもう一本、短めの「ルール」を把握できるシナリオが用意されていれば、もうちょっと敷居が下がったのではないのかなあと思うともったいない。
そして最後の問題がチョッピリ不親切。
キーワードとナゾとヒラメキの関係がものすごく重要なのだけど、この組み合わせをヒストリにしたりグラフにする機能が全く用意されていないために、横にPCを置いてリスト作らないとやりにくい(特に長い話になると非常に面倒)。せっかく携帯ゲームでお気楽にプレイ出来るのに…ここらへんの不親切さはどうなんだ、と思ってしまう。
と、いろいろな問題もあるソフトだけど、それでもこのゲームは、コンピュータでしか出来ない、新しい読書体験を味わえる。
それに、なによりヒラメキが出来上がって、解けたああ! って気持ちよさはハンパではない。
推理小説で、犯人を当てるのが好きだという人はぜひプレイしてみて欲しい。
TRICK×LOGIC Season1
TRICK×LOGIC Season2
で、あまりに楽しかったモノで、Twitterで「トリック・ロジックのシーズン3やりたいなあ」とつぶやいたところ、作者の方の一人(企画に深く関わられたらしい)我孫子先生が
しかも「結構いい数字まで来ていて、あとちょっとなんですよ…」などとつぶやかれる始末である!
というわけでシーズン3をプレイしたい僕としては、応援企画としてトリロジはこんなに面白いぞよ、という記事を書こうと、思い立ったわけだ。
さて、トリック・ロジックは、いわば推理小説を題材にした、新しいスタイルのゲームマシン(というかコンピュータ)で可能な読書+ゲーム体験。
推理系ゲームといえば激戦区で、遙か遠い昔に発売されたinfocomの"DEADLINE"なんて信じがたいほどの名作から始まって、もちろん堀井雄二氏のポートピア殺人事件・オホーツクに消ゆ、J.B.ハロルドシリーズ、チュンソフト自身のかまいたちの夜などなど、うなるほど名作があるわけだけど、トリック・ロジックはかなり革命的に新しい。
正直、今まであったどんなゲームとも違うスタイルなので(絶無というわけではないが、少なくとも似たようなメジャーゲームはないと思う)、説明が大変なのだけど、ともかく書いてみる。
(1)普通に最初から最後まで推理小説を読む
流れとしてはだいたい普通の推理小説の結構と思っていいが解決が無い。だいたい最後に犯人は目の前とか書いてあるのだが、全く五里霧中で「エー?犯人わかったとかナメてんの?」と言いたくなることが大半。
(2)読み終わると、調書が現れる
調書は「盗んだ方法を説明するヒラメキを入れろ」みたいないくつかの質問と「ヒラメキ(推理することで得られるアイテムのようなもの)」を入れる答え欄、そして犯人の指定の3つから成り立っている。
ここで重要なのは質問。質問がある程度、ヒントになっているので読んでおくことが大事だ。
(3)本文を好きに読めるようになり、いよいよ推理が始まる
本文からキーワードを抜き出し、そこからナゾを作り、ナゾからヒラメキを作っていく。
(4)調書完成
答え欄にヒラメキを入れ、犯人を指定して「調書完成!」とやると解決篇に進み、名探偵がかっこよく推理していく(たいていは解決篇の途中でも、いくつかの質問が行われる)。そして推理が間違っているとやり直し。正しいと「お前すげえよ!」となり、オマケが少しついて次のシナリオに進む。
と、このようなゲームだが、抜群に新しいのが、調書を作るために必要な「ヒラメキ」というアイディア。
図を見て欲しいが、一度通読すると、本文をどこでも自由に読めるようになると同時に、あちこちの文章をキーワードとして組み合わせて推理できるようになる(推理スロットというものがあり、それに本当にキーワードを入れる)。
例から説明すると、「靴下が濡れていた」、「快晴だった」という二つのキーワードを組み合わせて推理すると「なぜ靴下は濡れていたのか?」なんて「ナゾ(新しいキーワード)」が出来上がる。
そして、このナゾとさらにキーワード「風呂場の床が濡れていた」を組みあわせると「被害者は風呂場で殺された!」という「ヒラメキ」が手に入り、このヒラメキを調書に入れれば事件は解決! という仕掛けだ。
図でわかるとおり、キーワードを組み合わせることで、気になる事(ナゾ)を導きだし、そのナゾと、さらに本文のキーワードを組み合わせることで、真相を指し示すヒラメキを生み出す、という2段階の構造になっているところがミソ。
で、図のようにズバーン! と真相を見いだせればとても気持ちいいのだけれど、一筋縄ではいかないことに、ナゾとヒラメキのどちらも嘘八百が大量に出来上がる。
上の例だと「洗濯機があった」というキーワードが他にあり「なぜ靴下は濡れていた?」と組み合わせると「被害者は洗濯していて感電した!」なんてウソヒラメキが出来る。もちろん「調書完成!」も間違いになる。
こんな間違いをしないために、キーワードからナゾを導き出し、ナゾを集めて、犯人や犯行のやり方を推理して、いらないナゾを捨て、必要なナゾとキーワードを組み合わせて、ヒラメキを導きだすことを徹底してやって、初めて、真犯人を暴き出せる。
間違いなく、とても斬新なパズル兼読書ゲームで、面白くて安くてお勧めしたいのだが、正直、いくつか大きな問題がある。
第一の問題が「合う・合わない」。
僕は面白い! と書いたが、それは読書が好きで、推理小説が好きだからだ。
このゲームは、文字通りフツーに推理小説を読んで、次に散々読み込んで、あーでもない・こーでもないとひたすら文章とにらめっこするゲームで、どう考えても少々マニアックなゲームだ。
まあ、この「合う・合わない」はPSNに体験版があるので、プレイして見極めてほしいのだけれど--
ここで第二の問題が登場する。それは体験版の難易度が微妙。
どんなキーワードからナゾを導き出すか、いかにしてナゾからヒラメキを導き出すか? がゲームのポイントだけど、練習篇(体験版)ではあまりに簡単にヒラメキが出来てしまい、どういうルールでナゾとヒラメキが出来るのかをしっかりと把握できないうちに終わってしまう(実際、僕も初めて体験版をプレイしたとき、簡単に終わってしまって「エ?」だった)。
そして製品版では最初のシナリオから体験版とは比較にならないほど難易度が高く、ナゾからヒラメキを導き出せず、大量にあるキーワードを総当りで調べるハメになってしまう。
で、3つめぐらいまで四苦八苦しながら進めると、ナゾとヒラメキのルールが分かるようになって「ナゾは全て解けた!」とかホザいたりするわけだけど、ともかく最初の2つぐらいは四苦八苦。投げてしまう人がいても驚かない難しさ、といわざるを得ない。練習用にもう一本、短めの「ルール」を把握できるシナリオが用意されていれば、もうちょっと敷居が下がったのではないのかなあと思うともったいない。
そして最後の問題がチョッピリ不親切。
キーワードとナゾとヒラメキの関係がものすごく重要なのだけど、この組み合わせをヒストリにしたりグラフにする機能が全く用意されていないために、横にPCを置いてリスト作らないとやりにくい(特に長い話になると非常に面倒)。せっかく携帯ゲームでお気楽にプレイ出来るのに…ここらへんの不親切さはどうなんだ、と思ってしまう。
と、いろいろな問題もあるソフトだけど、それでもこのゲームは、コンピュータでしか出来ない、新しい読書体験を味わえる。
それに、なによりヒラメキが出来上がって、解けたああ! って気持ちよさはハンパではない。
推理小説で、犯人を当てるのが好きだという人はぜひプレイしてみて欲しい。
TRICK×LOGIC Season1
TRICK×LOGIC Season2
コメント
この記事のトラックバックURL :
トラックバック