2014-05-17 Sat [ ゲームについて::歴史のこと ]
これは少し前に、コナミを退職された五十嵐さんと酒を飲んだ時に出てきた話で、とても面白かったし、自分自身でも思い当たるところがあったので、メモ書き代わりに残しておく記事。
はるか遠い昔、テレビゲームにはスタッフロールなんて気の利いたものはなかった。
もちろんメモリがなかったからだし、だいたいテレビゲームの王者だったアーケードゲームはレースゲームなどの一部の特別な例外を除くと、延々とプレイ可能なゲームでスタッフロールを入れる場所なんてなかった。
このスタッフロールはどこで決定的に登場したのか?
この答えは、少なくとも日本では極めて明らかだ。
これは『ドラクエとFFとToHeart』という同人誌の一節だけど、引用しよう。
当時、まだゲームのライターではあったけれど、ゲームを作る側にはなっていない僕が1986年にドラクエ1をプレイして、もっとも感動した要素の一つがこれだった。他の要素のほとんどはパソコンで経験済みの要素だったけれど、こと「ゴージャスな映画のようなエンディングから繋がるスタッフロール」ってのはマジでなかった。もし仮にあったとしても僕が見たことないのは間違いないし、だいたい完成度もレベルが全く違った。
そしてドラクエ1から数ヶ月して発売されたドラクエ1のエンディングを見て作られたと思われる1986年末のゲームには、やたらめったらスタッフロールが含まれるようになっている。例えばコナミの『謎の壁』、コンパイル制作・ポニカ発売の『ザナック』、HAL研究所の『ガルフォース』、87年1月の『リンクの冒険』などなど…
ともかくどいつもこいつもゴージャスなスタッフロールが掲載されるようになった。
つまり、スタッフロールはドラクエ1のプレゼントってのは、ほぼ間違いないと思う。
ところが、これらのスタッフロールの大半は「ピンタン」だのなんだの、まあかなり変なペンネームが満載されていることが多かった。
このコトについて、僕は『イース1・2制作メモ』でこのように書いた。
と、当時のスタッフロール事情を理解してもらったところで、話は五十嵐さんとの飲み会の時に戻る。
五十嵐さんとの飲み会は本当に面白かったのだけど、その中で、ときメモのスタッフロールの話が出てきた。
なんと、ときメモのスタッフロールを作るとき、スタッフの人数が足りなくて、同一人物の別ペンネームで埋めたというのだ!
五十嵐さんなら、五十嵐・IGA・あとなんだったか、ミニゲームのプログラマでは別の名前を使うという具合。もう、僕は大爆笑したのだけど、言われて「確かにそうだ」と思った。
当時のゲーム、特に86年頃のファミコン中期ぐらいまではせいぜい10人ぐらい、スタッフロールを埋めるのに一苦労だ。
イース1・2でもそうだったのだけど、確かにそこらじゅうに同じ名前が出てくることになるのは結構困っていた。自分の名前があちこちに出てしまうのをどうしようか、ペンネームにしようかと最初のうち迷ったのは確かだった(そしてまあもういいやと思ったわけだけど)。
まさにこの五十嵐さんの話はスタッフロールでペンネームを使う合理的な理由なのは間違いない。
で、忘れないように、この話をツイッターでツイートしてからはっと気がついた。
スタッフロールが登場したのを調べた時、ほとんどのスタッフロールは86年末から本格的に登場していて、ハドソンの『ドラえもん』のスタッフロールも見つけていた。
そして、当時のハドソンのメンバーを僕は知っているわけでスタッフが重なっていたらわかるに違いない!。
というわけで、調べてみたら…もうなんと重なりの嵐。
奥野さんは、奥野と"Okkun"とか出てるし、野沢さんは何度も何度も出てくるし、挙句の果てには"NONTA"でも出てくるし、アーティストは山本さんやら岡本君やら、もう二度も三度も出てくるし、開発用ハードのメンバーやら、ちょっとデバッグしただけのヤツっぽいのから、何から、ともかくなんでもスタッフロールにブチこまれてるザマで、もう大水増しスタッフロールもいいところ。
僕は大爆笑してしまったのだけど…最高に笑ったのは…このスタッフロールの話をツイートした時に出てきたツイート。
いやあ、水増しも度が過ぎるでしょう(笑)
はるか遠い昔、テレビゲームにはスタッフロールなんて気の利いたものはなかった。
もちろんメモリがなかったからだし、だいたいテレビゲームの王者だったアーケードゲームはレースゲームなどの一部の特別な例外を除くと、延々とプレイ可能なゲームでスタッフロールを入れる場所なんてなかった。
このスタッフロールはどこで決定的に登場したのか?
この答えは、少なくとも日本では極めて明らかだ。
これは『ドラクエとFFとToHeart』という同人誌の一節だけど、引用しよう。
半分余談だが、ドラゴンクエスト1が日本のゲームに与えた「極めて大きなプレゼント」のもう一つが、映画のようなエンディングとスタッフロール。
ドラクエ1以前はゲームのエンディングというと、おっそろしく簡素なものだったが、ドラクエの圧倒的な成功以降、エンディングとスタッフロールが非常に重視されるようになった。
そして今でも海外のゲームは、このエンディングが軽い作品が多く、クリアしたとき「え? これで終わり?」と思うことも多々ある。
そう考えたとき、エンディングはドラクエが与えてくれた素晴らしくポジティブなプレゼントだと思う。
ドラクエ1以前はゲームのエンディングというと、おっそろしく簡素なものだったが、ドラクエの圧倒的な成功以降、エンディングとスタッフロールが非常に重視されるようになった。
そして今でも海外のゲームは、このエンディングが軽い作品が多く、クリアしたとき「え? これで終わり?」と思うことも多々ある。
そう考えたとき、エンディングはドラクエが与えてくれた素晴らしくポジティブなプレゼントだと思う。
当時、まだゲームのライターではあったけれど、ゲームを作る側にはなっていない僕が1986年にドラクエ1をプレイして、もっとも感動した要素の一つがこれだった。他の要素のほとんどはパソコンで経験済みの要素だったけれど、こと「ゴージャスな映画のようなエンディングから繋がるスタッフロール」ってのはマジでなかった。もし仮にあったとしても僕が見たことないのは間違いないし、だいたい完成度もレベルが全く違った。
そしてドラクエ1から数ヶ月して発売されたドラクエ1のエンディングを見て作られたと思われる1986年末のゲームには、やたらめったらスタッフロールが含まれるようになっている。例えばコナミの『謎の壁』、コンパイル制作・ポニカ発売の『ザナック』、HAL研究所の『ガルフォース』、87年1月の『リンクの冒険』などなど…
ともかくどいつもこいつもゴージャスなスタッフロールが掲載されるようになった。
つまり、スタッフロールはドラクエ1のプレゼントってのは、ほぼ間違いないと思う。
チョッピリ追記。
指摘されるまで、すっかり忘れていたのが情けないのだけど『ドルアーガの塔』にはスタッフロールが含まれていた。しかし、ドルアーガのスタッフロールはコピーされた印象はさっぱりないので、一般化したのが『ドラクエ1』なのは間違いないと思う。
指摘されるまで、すっかり忘れていたのが情けないのだけど『ドルアーガの塔』にはスタッフロールが含まれていた。しかし、ドルアーガのスタッフロールはコピーされた印象はさっぱりないので、一般化したのが『ドラクエ1』なのは間違いないと思う。
ところが、これらのスタッフロールの大半は「ピンタン」だのなんだの、まあかなり変なペンネームが満載されていることが多かった。
このコトについて、僕は『イース1・2制作メモ』でこのように書いた。
ところで、当時はゲームのエンディングまで行き着いたとき、まずスタッフロールは出たり出なかったりで、誰が作ったのかすらわからないことが多かった。さらに仮に出てもぴょんきちだのガッツ.アンパンだの、ふざけた名前のが並ぶことが多かった。
これは大手ではスタッフの引抜きを警戒したから名前を出させてくれなかった…なんて話を聞いたことがあるが、僕はこれが本当かどうか知らない。少なくともハドソンでは「会社としてペンネームでなければ困る」と要望されたことはない。
ただ、デビュー作、凄ノ王伝説ではハドソンのスタッフの一部に仮名を使っている。スタッフロールを作るとき名前を確認した記憶があり、そのときペンネームで…みたいなことを言われたので「なんとなく名前を出すのが恥ずかしい」みたいな風潮があったのかも知れない。
■14/05/19追記
当時を知る方から、テクモはスタッフロールでの本名は禁止だったと教えてもらった。タイトーは本名オッケー、ハドソンはもちろんオッケーだったので、やはり会社によって違ったということだ。
これは大手ではスタッフの引抜きを警戒したから名前を出させてくれなかった…なんて話を聞いたことがあるが、僕はこれが本当かどうか知らない。少なくともハドソンでは「会社としてペンネームでなければ困る」と要望されたことはない。
ただ、デビュー作、凄ノ王伝説ではハドソンのスタッフの一部に仮名を使っている。スタッフロールを作るとき名前を確認した記憶があり、そのときペンネームで…みたいなことを言われたので「なんとなく名前を出すのが恥ずかしい」みたいな風潮があったのかも知れない。
■14/05/19追記
当時を知る方から、テクモはスタッフロールでの本名は禁止だったと教えてもらった。タイトーは本名オッケー、ハドソンはもちろんオッケーだったので、やはり会社によって違ったということだ。
と、当時のスタッフロール事情を理解してもらったところで、話は五十嵐さんとの飲み会の時に戻る。
五十嵐さんとの飲み会は本当に面白かったのだけど、その中で、ときメモのスタッフロールの話が出てきた。
なんと、ときメモのスタッフロールを作るとき、スタッフの人数が足りなくて、同一人物の別ペンネームで埋めたというのだ!
五十嵐さんなら、五十嵐・IGA・あとなんだったか、ミニゲームのプログラマでは別の名前を使うという具合。もう、僕は大爆笑したのだけど、言われて「確かにそうだ」と思った。
当時のゲーム、特に86年頃のファミコン中期ぐらいまではせいぜい10人ぐらい、スタッフロールを埋めるのに一苦労だ。
イース1・2でもそうだったのだけど、確かにそこらじゅうに同じ名前が出てくることになるのは結構困っていた。自分の名前があちこちに出てしまうのをどうしようか、ペンネームにしようかと最初のうち迷ったのは確かだった(そしてまあもういいやと思ったわけだけど)。
まさにこの五十嵐さんの話はスタッフロールでペンネームを使う合理的な理由なのは間違いない。
で、忘れないように、この話をツイッターでツイートしてからはっと気がついた。
スタッフロールが登場したのを調べた時、ほとんどのスタッフロールは86年末から本格的に登場していて、ハドソンの『ドラえもん』のスタッフロールも見つけていた。
そして、当時のハドソンのメンバーを僕は知っているわけでスタッフが重なっていたらわかるに違いない!。
というわけで、調べてみたら…もうなんと重なりの嵐。
奥野さんは、奥野と"Okkun"とか出てるし、野沢さんは何度も何度も出てくるし、挙句の果てには"NONTA"でも出てくるし、アーティストは山本さんやら岡本君やら、もう二度も三度も出てくるし、開発用ハードのメンバーやら、ちょっとデバッグしただけのヤツっぽいのから、何から、ともかくなんでもスタッフロールにブチこまれてるザマで、もう大水増しスタッフロールもいいところ。
僕は大爆笑してしまったのだけど…最高に笑ったのは…このスタッフロールの話をツイートした時に出てきたツイート。
いやあ、水増しも度が過ぎるでしょう(笑)
コメント
スタッフロールの例にザナックがありますが
「ロール」しない1画面表示で、どちらかというとドルアーガの系譜なんではないかと思います。
(この場合は「スタッフクレジット」?)
ただあの妖精が文字を表示していく演出は凄く記憶に残ってますし
よく考えるとシューティングでのエンディングにスタッフクレジットを出した
最初…ではないと思いますが、かなり初期の例で
後に影響を及ぼしたような気もしますね。
スタッフロールと言えば思い出すのは
PC88版スナッチャーのスタッフロールですねぇ。
あれはもう同じ名前が出まくることを割り切っていて
BGMのタイトルや作曲者やらを1曲ごとに全部表示したり
エディタは何を使ってるだのやたら細かいことまで書いてあって
大体20分ぐらいありましたw
「ロール」しない1画面表示で、どちらかというとドルアーガの系譜なんではないかと思います。
(この場合は「スタッフクレジット」?)
ただあの妖精が文字を表示していく演出は凄く記憶に残ってますし
よく考えるとシューティングでのエンディングにスタッフクレジットを出した
最初…ではないと思いますが、かなり初期の例で
後に影響を及ぼしたような気もしますね。
スタッフロールと言えば思い出すのは
PC88版スナッチャーのスタッフロールですねぇ。
あれはもう同じ名前が出まくることを割り切っていて
BGMのタイトルや作曲者やらを1曲ごとに全部表示したり
エディタは何を使ってるだのやたら細かいことまで書いてあって
大体20分ぐらいありましたw
| 非匿名 | EMAIL | URL | 14/05/20 00:59 | .0x0jI7g |
自分が担当したFCのゲームでも、お茶汲みの娘の名前までスタッフロールに入れてました。
| ぱりだかのりひこ | EMAIL | URL | 14/05/18 23:50 | sKF/Xdnc |
アリスソフトのランス5Dは
置き菓子様(グリ〇)
置き水様(サン〇リー)
おもちゃ(心の癒し)
と スタッフが飲食したものや スタッフがストレス解消のために遊んだと思われるおもちゃが出てきて PC画面の前で笑った記憶が
置き菓子様(グリ〇)
置き水様(サン〇リー)
おもちゃ(心の癒し)
と スタッフが飲食したものや スタッフがストレス解消のために遊んだと思われるおもちゃが出てきて PC画面の前で笑った記憶が
| するめ | EMAIL | URL | 14/05/18 16:21 | KBmPJ9wo |
>スペシャルサンクスに会社の近所の食堂やらスポーツジムやら入れて水増し
バトルマニア大吟醸のことだと思います。
バトルマニア大吟醸のことだと思います。
| すがる | EMAIL | URL | 14/05/17 23:32 | j.kjCk6E |
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