2012-03-26 Mon [ 天外2製作メモ ]
今日、twitterでフォロワーの方に言われて気がついたのだけど、天外ⅡのPCエンジン版が発売されて20周年だった。
つまり、20年前の今日、天外Ⅱは発売されたわけだ。
最悪でも今年の冬には製作メモをまとめあげて、天外Ⅱ本は出せるだろうと思っているので、20周年の記念すべき年に本を出せることになるなあと思ってしまった。
その20周年に作った会社のハドソンはなくなっているってのもスゴい話だと思うけど。
それはともかくとして、自分が関わった仕事で知られている作品といわれたら、天外Ⅱか、イースⅠ・Ⅱになると思うんだけど、天外Ⅱは、自分には複雑な思いのある作品だ。
ちょうど、これから製作メモで書いていく所になるのだけど、天外Ⅱというゲームは、当時の製作スタッフの想像を超えたサイズで、まあ自分の想像力のなさを思い知らされたのだけど、本当に作ってる間、とんでもない、まるで自分が想像していなかった化物のようなサイズにプロジェクトがなっていくのを目の当たりにした。
もちろん、当時、自分なりのベストを尽くしたけれど、コードの責任者としては全く忸怩たる思いで、そして途方もないサイズになっていくに従い、どんどん自分の手に負えないものになっていく気がしたプロジェクトだった。
天外Ⅱが完成したのは、ひとえに優秀なスタッフと、それを投入することを良しとしてくれたハドソンの度量があってのことで、僕の今の感覚から言えば、良く自分は更迭されなかったと思ってしまう。
これが第一の複雑な気持ちがする理由なのだけど、実は、作り手としては、もう一つ複雑な気持ちがする理由がある。
それは超大作ゲーム、すなわち「一般のみなさんに受ける」ということの辛さを思い知らされた作品でもあったということだ。
ともかく一般に受けないと判断されたネタは惜しげもなく捨てられて、天外Ⅱという作品は出来ているわけだけど、このプロセスは、すなわち「自分の感覚がどれだけマイノリティで、一般からかけ離れているのかを思い知らされるプロセス」でもあった。
この僕がやりたいと思うことは、しょせんはマイナーでしかないと感じるプロセスの果てに、僕は絶対に一般ウケしなければならない超大作ゲームは作りたくない、出来れば少数にカルト的に受けるゲームを作りたいと思った。
ただ、それでも天外Ⅱを作ったことで得られたプロジェクトとゲームデザインの双方の経験は得がたいもので、イースのときにはまだ残っていたゲームに対する教条主義的なところのほとんどが天外Ⅱでなくなって、以後、発想がかなり自由になったとは思う。
まあ、そんな僕の希望はカルトゲーム作りたいだったわけだけど、次に作ったのがエメラルドドラゴンで、しかもそのあとはまるで違う方向に走っちゃったりもして、会社の事情はあったけれど、自分が作りたいモノと、会社や他人様が作って欲しい作品は違うのだよなあ、なんて思ってしまう。
ところで「超大作作りたい」ってのは、やっぱりアコガレらしく、ニュージーランドで部下やスタジオの他の連中と話してると「AAAタイトルやりたい」だの「スタジオの夢はAAAタイトルだよね」とか言われたりする。
それをきいて「AAAって辛いよ、お前ら」と…母国語ではなく、英語で諭したりする自分がいて…なんというか、20年という月日は、思えば遠くへ来たものだと感じるのでありました、エエ。
つまり、20年前の今日、天外Ⅱは発売されたわけだ。
最悪でも今年の冬には製作メモをまとめあげて、天外Ⅱ本は出せるだろうと思っているので、20周年の記念すべき年に本を出せることになるなあと思ってしまった。
その20周年に作った会社のハドソンはなくなっているってのもスゴい話だと思うけど。
それはともかくとして、自分が関わった仕事で知られている作品といわれたら、天外Ⅱか、イースⅠ・Ⅱになると思うんだけど、天外Ⅱは、自分には複雑な思いのある作品だ。
もちろん人によってはエメドラだろうし、ある種のファンには凄ノ王伝説だろうし、マニアックな人はボンバーボーイかも知れないw
ちょうど、これから製作メモで書いていく所になるのだけど、天外Ⅱというゲームは、当時の製作スタッフの想像を超えたサイズで、まあ自分の想像力のなさを思い知らされたのだけど、本当に作ってる間、とんでもない、まるで自分が想像していなかった化物のようなサイズにプロジェクトがなっていくのを目の当たりにした。
もちろん、当時、自分なりのベストを尽くしたけれど、コードの責任者としては全く忸怩たる思いで、そして途方もないサイズになっていくに従い、どんどん自分の手に負えないものになっていく気がしたプロジェクトだった。
天外Ⅱが完成したのは、ひとえに優秀なスタッフと、それを投入することを良しとしてくれたハドソンの度量があってのことで、僕の今の感覚から言えば、良く自分は更迭されなかったと思ってしまう。
これが第一の複雑な気持ちがする理由なのだけど、実は、作り手としては、もう一つ複雑な気持ちがする理由がある。
それは超大作ゲーム、すなわち「一般のみなさんに受ける」ということの辛さを思い知らされた作品でもあったということだ。
ともかく一般に受けないと判断されたネタは惜しげもなく捨てられて、天外Ⅱという作品は出来ているわけだけど、このプロセスは、すなわち「自分の感覚がどれだけマイノリティで、一般からかけ離れているのかを思い知らされるプロセス」でもあった。
この僕がやりたいと思うことは、しょせんはマイナーでしかないと感じるプロセスの果てに、僕は絶対に一般ウケしなければならない超大作ゲームは作りたくない、出来れば少数にカルト的に受けるゲームを作りたいと思った。
ただ、それでも天外Ⅱを作ったことで得られたプロジェクトとゲームデザインの双方の経験は得がたいもので、イースのときにはまだ残っていたゲームに対する教条主義的なところのほとんどが天外Ⅱでなくなって、以後、発想がかなり自由になったとは思う。
まあ、そんな僕の希望はカルトゲーム作りたいだったわけだけど、次に作ったのがエメラルドドラゴンで、しかもそのあとはまるで違う方向に走っちゃったりもして、会社の事情はあったけれど、自分が作りたいモノと、会社や他人様が作って欲しい作品は違うのだよなあ、なんて思ってしまう。
ところで「超大作作りたい」ってのは、やっぱりアコガレらしく、ニュージーランドで部下やスタジオの他の連中と話してると「AAAタイトルやりたい」だの「スタジオの夢はAAAタイトルだよね」とか言われたりする。
それをきいて「AAAって辛いよ、お前ら」と…母国語ではなく、英語で諭したりする自分がいて…なんというか、20年という月日は、思えば遠くへ来たものだと感じるのでありました、エエ。
コメント
残念ながらその番組のアーカイブが残っていないので僕の印象だけでしか書けないの
ですが、「PCEでは百万本売れない」と述べていることからして「ミリオン売って当然」と
考えていたのかもしれません。
以前PCEAでウインズオブサンダーが配信されたときに名人のブログにその件について
書き込んだことがあったのですが、「よく覚えていない」というつれない返事でした。
今思うに、この時期のハドソンは下請けに作らせたゲームに関心が薄くなってたのかも
知れませんね。
ですが、「PCEでは百万本売れない」と述べていることからして「ミリオン売って当然」と
考えていたのかもしれません。
以前PCEAでウインズオブサンダーが配信されたときに名人のブログにその件について
書き込んだことがあったのですが、「よく覚えていない」というつれない返事でした。
今思うに、この時期のハドソンは下請けに作らせたゲームに関心が薄くなってたのかも
知れませんね。
| するがまなぶ | EMAIL | URL | 12/03/29 22:28 | BQJKxlV6 |
>>するがまなぶ様
うーん、僕の心の内はともかくとして、天外IIを失敗というなら、ハドソン内部ではどういう目標があって、どれぐらい未達だったんですか? とちょっと質問したくなりますが。
桝田さんなんか結構プライド傷つく話ですね、それが本当なら。
>> mikira 様
わはは、僕なんざ、全部合わせて100万本ぐらいしかソフト売ってないヘッポコ野郎ですからw
うーん、僕の心の内はともかくとして、天外IIを失敗というなら、ハドソン内部ではどういう目標があって、どれぐらい未達だったんですか? とちょっと質問したくなりますが。
桝田さんなんか結構プライド傷つく話ですね、それが本当なら。
>> mikira 様
わはは、僕なんざ、全部合わせて100万本ぐらいしかソフト売ってないヘッポコ野郎ですからw
| 岩崎 | EMAIL | URL | 12/03/29 07:33 | Dxui/HlY |
休暇中の天外本の執筆、頑張ってください。
それにしても岩崎さんのブログで、92~95年頃にゲーマーの立場としてハドソンに
感じていた違和感の正体がだんだん明らかになってきた気がします。
高橋名人はネット番組でハドソンの公式見解として「天外IIは失敗。天外IIIは百万本
売りたいのでPCEでは出さない」という当時の状況を語っていましたが、ハドソンが
天外IIの結果に満足しなかったのがその後の任天堂ハードへの注力強化、PCE軽視
に繋がっていったのかもしれませんね。
それにしても岩崎さんのブログで、92~95年頃にゲーマーの立場としてハドソンに
感じていた違和感の正体がだんだん明らかになってきた気がします。
高橋名人はネット番組でハドソンの公式見解として「天外IIは失敗。天外IIIは百万本
売りたいのでPCEでは出さない」という当時の状況を語っていましたが、ハドソンが
天外IIの結果に満足しなかったのがその後の任天堂ハードへの注力強化、PCE軽視
に繋がっていったのかもしれませんね。
| するがまなぶ | EMAIL | URL | 12/03/29 01:20 | BQJKxlV6 |
すいません、岩崎さんの作品「ボンバーボーイ」しかやったことありません。けしてマニアックな人ではないのですが。
| makira | EMAIL | URL | 12/03/28 12:19 | 6YbCEkeI |
買って帰ったディスクのケースを嬉々として開封したのが、20年前の今日か…
Duo発売!天外II製作決定!ってテレビで観て、早々と買っておいたDuoで観たOPに感動しました。
Duo発売!天外II製作決定!ってテレビで観て、早々と買っておいたDuoで観たOPに感動しました。
| ほしまる | EMAIL | URL | 12/03/26 20:42 | R.WMUye. |
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